ピンポーンピンポーンピンポーンと連打されるチャイムの音に目が覚めて私は布団から這い出る。
何だよ、まだ昼の12時過ぎたとこじゃんよ。「もー誰だよ…」と文句を言いながら玄関を開ける。

「おっす」
「よー!」
「こんにちは」
「うーす」
「おーす」
「あ、うち宗教の勧誘お断りなんで〜」

バタンと扉を閉めて鍵をかけ、さあ二度寝すっかなと踵を返せば、次はドンドンと扉を叩く音がした。はーっとため息をついて、扉を開くと、クラスメイト5人が相変わらずいた。

「んもー、なんだよ!近所迷惑だろ!」
「なまえがクリスマスを一人さみしく過ごすのはかわいそうだからがせっかく来てやったんだよ」
「そんなの頼んだ覚えありませーん!とくに三郎に頼んだ覚えはありませーん!」
「なんだとー!」
「まあまあ、三郎。なまえ、良かったら俺たちと遊びに行こうよ」
「でっかいクリスマスツリーを見に行くのだ」
「美味いもんも食いにいくぞー!」
「てことでさ、行こうよ」

雷蔵、兵助、ハチと勘ちゃんにそうにこやかに言われて、まあ、一日中家にいるだけだしなあ、と思い「まあいいよ」と言った。

「雷蔵と兵助とハチと勘ちゃんに免じて行くよ」
「おい私は?」
「10分まってて」


三郎を無視して、一度部屋に入り顔を洗う。それから、服とコートを引っ張り出して着る。これだけじゃ寒いかな、と思ってマフラーを巻いて外へ出た。

「おまたせ」
「おー、本当に10分で準備するとは女とは思えんな」
「あ?三郎何が言いたいんだ、あ?」
「三郎はどうして一言おおいかなー」
「ま、三郎だから」
「早くツリーを見に行くのだ」
「いや兵助、ツリーはやっぱ夜だろ」

「とりあえず、街にでようか」という勘ちゃんの提案に乗り、街へと繰り出す。
キラキラと可愛らしい天使や星のモニュメント、様々な色の電飾が町中に飾られ、カップル達がひしめく。

「ヤダぁ〜クリスマスって感じ〜すってき〜」
「三郎、なまえが壊れた」
「言うな兵助」
「おほー、それにしてもカップルが多いなぁ」

ハチがあたりを見渡し、そう言う。それに雷蔵と勘ちゃんが「いーなー」「俺も彼女ほしいー」と嘆き、兵助も「そうだなぁ、クリスマスくらい可愛い女の子と遊びたい」と言い出す。

「ぷぷ、お前らこの歳になって彼女もいないのか!哀れだな!」
「それ、何もすることもなく毎日のように昼まで寝てるなまえにそのまま返すぞ」
「……!!!」
「兵助よく言った!」
「兵助いいこ!」

勘ちゃんと雷蔵が「そうだそうだ!」と言いながら兵助に抱きつく。私はぐぬぬと唇を噛みしめ唸るしかなかった。
そんな私の肩にポン、と手がおかれる。

「三郎…」
「落ち込むなよ。私もいないさ」
「三郎に言われると、ますます落ち込むわ…」

ずどーん、とあからさまに肩を落とせば、三郎が「なんでだよ!」と叫ぶから「嘘だよ」と笑って次は私が三郎の肩を叩いた。

「よーし!三郎!兵助!雷蔵!勘ちゃん!クレープ食べようクレー…ぶふぉ!」

少し前から目をそらして歩いてあいると、人にぶつかってしまった。「いたた…」と顔を押さえていると、頭上から「あ、ごめん大丈夫?」と問われる。

「すみません大丈夫で……」
「?、どうかした?」
「いえ……」

やばい。なんだこのお兄さん。超イケメンすぎだろ。全然大丈夫じゃないよ私のハートが壊れそうなほどドッキドキだよどうしてくれんだよ。これ来ちゃうんじゃね?ハッピークリスマス来ちゃうんじゃね?

「本当に大丈夫?」
「あっ、いえ、その…」
「あーん、たっくんなにしてんのぉ〜」
「ごめんごめん!今行くよ!じゃあ君、気をつけるんだよ」
「は、はい…」

あ、私のハッピークリスマスがフラグが砕け散った。

「く、くははは!なにやってんだよなまえ!」
「かっこいい男見つけたのにすぐ玉砕だったな」
「っ……三郎、勘ちゃん!」
「ん?どうかしたか?」
「私は!!…私は今から鬼となる!!!」
「あ、もうだめだ」
「手遅れなのだ」
「あははは…」

「くっそー!」と一つ叫んで、そこからはがむしゃらに遊んだ。雑貨屋の変なマスクで遊んだり、プリクラ機に6人で入って渾身の変顔をしたり、道行くカップルの間をわざと通ったり、くだらない遊びをした。
そして、あたりもすっかり暗くなったから、みんなで駅前にある大きなクリスマスツリーを見に行く事にした。

平日と言えどクリスマス。たくさんの人がひしめくなかで、5人とはぐれそうになる。すると、三郎が「はぐれるなよ」と私の手をつかんだ。それから空いたもう片方をハチが、後ろに勘ちゃん、前に雷蔵と兵助と私を囲んで、ツリーのへと向う。そして、ぶじ6人はぐれる事なくツリーの前に来たのだが、やっぱりカップルが多い。何やら抱きあってキスしてる輩までいる。
あー、いいなぁ、幸せそうにしやがってこんちくしょーめ。なんて思うけど、隣で嬉しそうにツリーを眺めている兵助や、ハチ、雷蔵に三郎に勘ちゃんをみたら「彼氏なんてどうでもいっか!」って気分になってきて、思わず笑みが漏れる。
それを聞いていたのか、兵助が「いきなり笑って、どうしたんだ?」と聞いてくるから、私はまた笑った。それにみんながなんだと私に集まる。

「な、なんだ!とうとう彼氏がいなくて寂しすぎて頭がいったか!?」
「三郎また怒られるよー」
「いや、なんかさ、彼氏もいない非リア充で、イケメンとぶつかってロマンスかと思いきやすぐにフラグ折れるっていうはたから見ればなかなか寂しいクリスマスだけどさ」
「なまえが自虐を…!」
「三郎がひどい事ばっか言うから…」
「みんなと一緒にいたらすごく楽しくて、彼氏とかそんなのどうでもよくなったんだ」

ニッと笑ってそう言えば、みんな少し目を見開いて顔を見合わせてからにっこり笑った。それから私は「俺もだー!」「私もだー!」「僕もだー!「俺も!」「俺も俺も!!」と叫ぶ5人にもみくちゃにされた。


ハッピー?メリー?クリスマス
(来年もまた誘ってやるさ)
(あ、いい。来年こそは彼氏つくるよ)
(おい…)
(さっきの感動を)
(返せよ!)
(バカー!)




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美馬崎様リクエスト非リアな五年生とギリギリクリスマス!なお話でした!
みんなで道行くカップルにギリギリするかんじ…とコメントで会ったんですが、なんだか夢主だけがひたすらギリギリしていたような…
ご期待に添えるものがかけたか不安ですが、非リアな五年生は書いていてとっても楽しかったです!


リクエストありがとうございました!そしていつも応援ありがとうございます!
美馬崎様にらくらんとイニとバイオまみれのすばらしいクリスマスが訪れますように!(///^o^///)