「うっわ……」
「趣味、」
「わる〜……」

生贄のモニュメントを手に入れて、進んだ先。
そこはまた城のような場所で、ほんと、ゲームでも思ったけどサラザールさんはどんなけ増築に熱意を注いでいるのと突っ込みたくなる。

そして、ルイスさんと二人、大きなサラザールのオブジェを見上げて冒頭の言葉を吐いた。レオンさんがそう言ってやるなと笑う。レオンさん、あなたそんなこと言ってるけど笑ってる時点で私たちと同罪ですからね!!


「見た感じ、進む方向はこっちか」


そういってレオンさんが水の中、後にサラザールとの決戦の場へと続く道の方へと一歩踏み出したとき、タイミングよくゴゴゴと道が水の中へと沈んでいき、サラザールの像の腕が動き始める。そしてわらわらと邪教徒が現れ、あっという間に囲まれた。


「まぁ、予想はしていた」
「さすがレオンさん」
「とりあえず、道をもとに戻すか」
「アイアイサー!」
「了解」


襲いかかってくる邪教徒達をなぎ倒して、一つのレバーを操作して道を半分戻す。
あのサラザールの像の手をわたってもう一つのレバーを操作するのは、ちょっと、いやかなり私にはハードルが高いので、レオンさんとルイスさんに任せることにして、私は行く手を阻む邪教徒たちをなぎ倒すことに専念だ。


「にしても……」


シュンッっと私の頬すれすれを、矢が飛んでくる。


「ボウガンこえええ!!!」


物陰に隠れながらボウガンをやり過ごし、矢が切れたところを狙って一気に切り倒す。
なんだか私もなれたもんだ。いや、嬉しかないけど。

「足引っ張るよりはマシか」


ふう、と足元でぶくぶく消えてゆく邪教徒を横目に、刀を鞘に納めれば、ゴゴゴと音がして、道が元通りになった。

「手間がかかったが、これで進めるな」
「ほんとによー、どれだけ手間かけさせ……なまえ、何で屈伸してるんだ?」
「え?あー、それはですねー」


「この道を一歩踏み出せば、あの像、動くんですよ。」
と言えば、レオンさんとルイスさんは顔を見合わせて、そしてハハハと笑った。

「なまえ、いくらなんでもそのジョークはきついぜ」
「ああ、それはさすがに……」
「マジで?」



「だあああああまじかよおおおお!!」
「ねええええ!!!動くんだよおおお!!!」
「まるで何かのアニメだな……」
「レオンはなんでそんな涼しい顔してんだよ!」


ズシーンズシーンと重い身体を、というのかわからないが、とりあえずそんな感じで後ろから追ってくるのは巨大なサラザールの像で、私たち三人は先ほど元通りにした道を全力で走っていた。


「ドアだ!」
「行くぞルイス!」
「せーの」

「おらぁっ!」とレオンさんとルイスさんが同時に鍵のかかったドアを蹴破る。
さすがレオンさんとルイスさんである。一発でドアを壊して、追ってくるサラザールの像とかなりの差をつけて外へと出た。


「これ、このままいけたら、橋おちない、かもっ!」
「よし、頑張れ!」

はぁはぁと息を切らし、走り続け橋の中間を通り過ぎたとき、後ろからすさまじい音がした。振り向けば、橋がサラザールの像の重みに耐えかねて崩れ、まさにその像が谷底へと落ちていく瞬間だった。


「よ、よかった……橋ジャンプしなくてすんだ……」
「もう戻れないな」
「戻る必要もない気もするけどな」
「まぁな」


はー、と扉の前で一息ついて、今しがたやってきた方を眺める。
城と、これから向かう塔をつなぐ橋は途中でばっきりと崩れ落ちて、どうやったってもう戻れそうにもない。


「さぁ、行こうかこの先は……」
「坊ちゃんが待ってくれてますよ」
「まったく、嬉しくない歓迎だ。どうせ趣味の悪い歓迎パーティーだろ」
「あー確かに」
「言ってやるなよ」
「レオンさんも笑ってるからおんなじです」

あれ、これデジャヴ。
なんて笑いながら、ギイッと戸を開けた。