「それは、やばいだろ!」
「ど、どうしよう!!」
「どうしようも何も、今更おりられないしな……レオン、どうする」
「飛ぶ、しかないだろう」
「飛ぶ!?いや、確かに、ゲームではレオンさんは飛んでたけど、でも……」


そんなにうまく行くのだろうか、と不安でぎゅっと唇をかみ締める。
すると、「大丈夫だ」とレオンさんが私のあたまにポンと手を置いた。



「レオンさん」
「自分を信じろ。なまえならできるさ」
「は、はい」
「よし。大丈夫さ。それに此処で死ぬなんてなまえの神様も、絶対に許さないだろうしな」
「そう、ですね」

うん、そうだ。ポジティブに行こう。
もし落ちそうになったって、神様が助けてくれる。
そう強く思って私はぎゅっと刀を握った。



ガタガタガタガタ、強くトロッコが揺れる。
そろそろだ。


「そろそろ、です!」
「よし、タイミングは俺が計ろう。うまく飛んでくれよ」
「はい」
「はっ、あたりまえ」


ガタガタ、道が途切れているのが見える。
心拍数が、上がる。
すぐそばでレオンさんの大きな声が聞こえた。



「スリー」





「ツー」





「ワン」




「行けっ!!」





ダンッ


届け!とそれだけを思って落ちてゆくトロッコの底を思い切り蹴る。
目の前の朽ちて崩れた線路の続きに、思い切り手を伸ばした。



「あっ……」


ダメだ届かない、落ちる。
伸ばした手が、宙をさ迷って、フッと落ちる感覚が体を襲った。
「ダメだった」そう思ったとき、パシリと腕をつかまれる音がする。

「ッ!!」
「なまえッ……!!」
「レオンさ……!」


間一髪、無事に線路に捕まったレオンさんに私は腕を捕まれていた。
助かった、と思ったが、しかし、レオンさんも腕一本で線路に捕まっている。
いくら彼が体を鍛えているといっても無理がある。

「レオンさん!」
「なまえ、じっとしてろよ!ルイス!」
「あ、ああ!すぐあげる!!」
「ルイスさん!」


ルイスさんも無事落ちずにいたようで、すぐさま線路によじ登り、レオンさんがあがるのを手助けする。そうして、私も無事線路の上へと引き上げられた。
助かった、と実感してドクドクとうるさいほどに心臓が脈を打つ。
ガクガクと手も足も震えていた。

「し、死ぬかと……!!」
「俺もだいぶ焦ったよ……」
「ほんと、冷や冷やしたぜ」


3人で線路の上、座り込んではぁ、とため息を吐く。
死ぬかと、思った。いままでも怖い思いはしてきたけど、何よりも怖かった。
私はとりあえずいまだにガクガクと震える腕をぎゅっと抱え込んで、深呼吸をする。すると、ふと体を誰かに包み込まれた。レオンさんだ。

「レオン、さん?」
「よかった、なまえが落ちなくて」
「レオンさん、」
「さすがに俺も血の気がひいた」
「私も、もうだめかと思いました。ありがとうございます」
「本当に、よかったよ」
「ん、はい」


私も、少し恥ずかしいけど、レオンさんの大きな体をさっきより震えの収まった腕で抱き返す。しばらくそうしていると、またぎゅっと、レオンさんとは逆のほうからも抱きしめられた。

「ルイスさん?」
「俺だけ仲間はずれは寂しいじゃねぇか」
「あはは、そうですね!ルイスさんもありがとうござます」
「ん、いいってことさ」


そうして3人でしばらくぎゅうぎゅうと抱きあってから、先に進んで、無事に生贄のモニュメントを手に入れて、無事地上へと戻ったのだった。