「アシュリー!」

扉を開けて中にはいれば、2体のヴェルデューゴに囚われたアシュリーと、豪華な椅子にふんぞり返って座っているサラザールぼっちゃんが居た。

「ふふふふ、ミスターケネディ。いい加減死んでください」


ニヤリと笑ってサラザールが高く手をあげる。
レオンさんとルイスさんが目配せして、レオンさんがすばやく私をぎゅっと抱き寄せたのと、フッと浮遊感が襲ったのはほぼ同時だった。

「っ!?」
「ふんっ!」
「おらっ!」

シュン!とレオンさんとルイスさんがほぼ同時に鉤縄のようなものを上に向かって投げる。上手く引っかかったようで、ぐんっと衝撃がして、浮遊感が止まった。

「手口が古臭いんだよ」
「ふー、ちょっと焦ったけどな。これでもくらいやがれ」

ルイスさんが銃を取り出し、サラザールが聞き耳をたてているであろう集音機へ銃を放っつ。そうか、普通ならそれはレオンさんがするはずだけど、今は片手に私を抱えているからできないのか。なんて変なところで感動しつつ、シュルシュルと縄をのばし、地面に立っている棘に刺さらないように慎重に降りていくレオンさんの邪魔にならないようにじっとする。


「レオンさん、ありがとうございます。重かったのに、大丈夫でしたか?」
「いや、大丈夫さ。なまえがしっかり捕まってくれてたし。
それに重くなんてなかったさ。もっと食べたらどうだ?」
「え、いやあそれは」
「ほんと役得だよな」

とりあえず少しでもミスれば即死のイベントを無事抜け、安心して一息つく。
周りを確認すれば、すぐそばにそばにずらりと立っている棘には、半分白骨化している死体が何体か突き刺さっていた。
一体何人が犠牲になったのか…考えただけでもぞっとする。

さて、ここから先に進めば右腕、つまりウェルデューゴ戦が待っている。
ゲームでは倒さなくても良かったはずだし、しかも3対1とこちらの方が有利、だと思う。
そんな事を考えていると、レオンさんの通信機器がピピっとなった。
レオンさんが「またサラザールか」と呆れたように呟いて、通信に出れば『命拾いしたと勘違いしているなら一言だけ教えておいてやる!』と大きな声が通信機から聞こえた。

『私の右腕を刺客として送り込んだ』
「右腕が取れるのか?」
『そんな口を叩いていられるのも今のうちだ。お前は死ねー!』

少し離れているこちらにも聞こえるくらい大声でそう叫んで、サラザールは乱暴に通話を切る。「向こうさんはずいぶんまいってるみたいじゃないか」とルイスさんが笑った。「で、その右腕が何たらってのは?」
「さあな。けど何かをこっちに送ったらしい」
「あの、その右腕はあのアシュリーのそばにいたでっかいヤツです」
「あれか…」
「げ、あれと戦うのかよ」
「それで、まあいろいろと面倒くさいんです」
「作戦を立てるべきということだな」
「あ、じゃああそこに武器商人さんがいるとおもうんで、そこでいろいろと準備しましょうか」

武器商人の近くにある机に移動して、地図を広げる。
とりあえず、私は一連に起こること、そしてウェルデューゴが液体窒素に弱いという事を説明する。
それを元にレオンさんとルイスさんが素早くルートの確認と武器の確認をし、その結果の出来た作戦は、「ロケットランチャーでドカン」だった。