「私が!こうなるのか!!」
「レオンー!早くなんとかして!」
「あ、もうチョイ右だろ」
「ちがうわ左よ!」
「とりあえず早く!!ミンチになるから!」



"王の聖杯"を無事手に入れたので、さて次は"后の聖杯"だ!とそれが入っている宝箱を目指して進む。
途中サラザールぼっちゃんが出てきて、えげつないトゲがついた下がる天井のトラップをけしかけられるが、どこまでも冷静なレオンさんが無表情で停止スイッチを銃で打ち抜き、無事に抜けた。
そして宝箱がおいてある部屋までの廊下をすばやく進む。
ここは、アシュリーが部屋に入ろうとした瞬間格子が落ちてきて、壁からドリルのついた乗り物に乗った邪教徒が出てきて襲ってくるところだ。
なので私はアシュリーに「絶対止まっちゃだめだよ!」と言いながら彼女の後ろにつく。アシュリーが無事に部屋に足を踏み入れて、ほっとしたその瞬間。
私の目の前にガシャーンと格子が落ちた。


「ギャーー!」


そして冒頭へ戻る。


「うおおお、来る!案外速度速い!」
「レオン早く!」
「まて…」
「なまえが白目むいてるぞ!」
「あ、ああ…」



パアンパアン!と発砲音が2回して、それからゴゴと格子があがる。
私はその瞬間顔から出せるものをすべて出しながらレオンさんに飛びついた。


「うわああぁあぁあぁひき肉になるかとおもったーー!」
「なまえ、かわいい顔が台無しになるぞ」

ぐいぐいと親指で私の涙をぬぐうレオンさん。
やだ、紳士じゃないですか…!



そして無事に"后の聖杯"も手に入ったので、途中に立ちふさがる邪教徒たちを手榴弾で一掃しつつ、宝を強奪しつつ、先に進む。
そして大きな王様と女王の像の手に、2つの聖杯を置いて、閉ざされていた扉を開いた。

さて、この先はたぶんノビスタドールたちがはびこる部屋だ。
ゲームであればそこに入った瞬間、アシュリーがさらわれるというイベントがある。
それをレオンさんに伝えれば、分かったと頷き、レオンさんが先きに部屋に入った。
数分してレオンさんが戻ってくる。


「道を確保したからとりあえず行こう。アシュリーは俺とルイスから絶対に離れるな」
「わかったわ」
「なまえも、離れるんじゃないぞ」
「うん!」


そろりと中に入れば大きな巣はあるが、ノビスタドールはいない。
慎重に進み、無事に扉の前まで来たとき、ブブッといういやな羽音がした。

「くそ、来たか!」
「レオンさ、あっ!」

ドン!と何かに突き飛ばされる。
ここにいるのはノビスタドールだけだ。


「なまえ!」
「大丈夫です!アシュリーを!」


自分に襲い掛かるノビスタドールを刀ではじき、レオンさんのそばに戻ろうとする。
ノビスタドールはどんどんと数を増やし、レオンさんもルイスさんも苦戦しているようだ。
彼らのそばでおろおろするアシュリーを守ろうと近づいたそのとき、アシュリーの体がふわりと浮く。

「きゃあ!」
「しまった、透明な…」
「やだ!」
「アシュリー!」


必死にアシュリーの地面から離れてゆく足をつかむが、またほかのノビスタドールにはじき飛ばされてしまう。
だめだ、アシュリーが…

「きゃあぁあ!」と言う叫び声が遠くなり、アシュリーの姿は見えなくなってしまった。
私は「くそ!」と言いながらなおも襲ってくるノビスタドールたちを刀で切り倒す。
この展開はゲーム通りで、たぶん問題はない。
でも無性に腹が立って仕方なかった。


「畜生、アシュリーはつれてかれちまったのか」
「連中も手ごわいな…」
「アシュリー、助けないと!」
「ああ、いこう」