「落ち着いたか?」
「はい」
「おっす」

ルイスさんが呆れたように「はぁ」とため息を吐いて、それから「早く説明してあげたらどうだ」とレオンさんに言った。
レオンさんは「おう」と頷いて、私の手をとってこう言った

「何やよーわからんこと言うかもしれんけど、頑張ってきいてな!」


そして、レオンさんの口から出たことをざっとまとめると、

今話しているのはレオンさんではなく、私が持っている刀に宿っている神様、"空時"で、そもそも私がここに来てしまったのは空時のついうっかりのせいであるということ。
しかし、ついうっかりの出来事なので私の返しかたがわからないらしく、どうにかしようと思考錯誤している途中らしい。

「ほんまにごめんなぁ〜!」
「え、あ、はぁ」
「俺が迎えにくるまで、まあ不本意やけども、コイツらに護って、いや護らせるからな!」

ぎゅっと空時さんが私の手を握る。しかし体はレオンさんだから、何だか恥ずかしい。

「は、はあ」

と取り敢えず返事をする。
でも、どうやって帰り方を調べるのか気になって聞いてみたら「友達に聞く!」と言われた。

神様にも友達いるんだ…

「じゃあ、俺行くな…」
「はい」

中が空時のレオンさんがふっと笑う。そしてレオンさんの身体がグラリと傾いたので、慌てて受けとめた。
男らしいがっちりとした肩にニヤリ…いや、どきりとする。
ピクッと目蓋が震えて、それから青い瞳が現れた。

「レオンさん」
「…なまえ?」
「はい!」
「っ…!良かった!」

次の瞬間、レオンさんにぎゅうっと抱きしめられる。いや、ぎゅううううっとだ。ちょっとまってくる、し…

「おい、レオン、なまえが真っ青だぞ」
「っ!すまない!」
「…っはぁ!お花畑が!」

大きく息を吸って、それから軽くレオンさんを小突いた。
「死ぬかと思いました」と私が言ってルイスさんが「シャレにならないからやめてくれ」と言った。

それから三人で笑いあった。


(そういえばアシュリー大丈夫かな?)
(きゃあああ!何で鎧が動くのよぉぉおお!)