遡る事一日とちょっと、それはそれはよく晴れた昼下がり。

一人の少女が仏間にやってきました。
理由はただ一つ。
仏壇と神様が宿ると言われている家宝の日本刀に備えられているお菓子を食べに来たのです。

その光景を日本刀に宿る神様が仏間の中がよく見える庭の木の上から見ていました。
それは少女が小さい頃から繰り返されていた光景で、神様は少女が美味しそうにお菓子を頬張る姿を見るのが、とても大好きでした。

ぽかぽかした陽気に、心地よい風が優しく吹きます。神様はついうとうとしてしまい、木の上からずり落ちそうになりました。
咄嗟に自分の力を出すと、なぜかちょうどその時神様の本体である日本刀を握っていた少女を巻き込み、ガナードとかいう意味の分からない生物がいる世界飛んでしまったのでした。

「っていう感じやねんけど…」
「限りなく…」
「お前のせいだな、なぁレオン?」
「ああ」
「知ってるわ!そんな"あーあ"みたいな目で見んといて!!」

顔を両手で覆ってウッウウッと泣き真似をする空時。
なぜなまえがこんなところに来たのかは一応わかった。わかったが…

「なんで直ぐに返さなかったんだ?」
「ああよう聞いてくれた!何でかっていうと、ただ単に返しかたが分からへんねん!」

あーーー、と俺とルイスの唸り声がホールに響く。

「返し方が分からない?お前神様なんだろ?」
「自分だけやったら何時もやってるしいくらでも出来るけど、なんでなまえちゃんまで巻き込んだか俺自身よぉ分からんくて、今必死で探してんねん!」

だって、他の人を他の世界とか時間に飛ばしたんなんかうん百年前でやり方なんかもう忘れてもーたんやもん!
「うー」と頭を抱えている空時の肩にポンと手をおく。

「なら、その方法がわかるまでは俺が護るから、お前は頑張って返し方を見つけるんだ」
「レオンはん…」
「な?お前なら出来るだろ?」
「ああ、ほんまありがとう…お前はええ奴やな」
「いや、そんな事はないさ」
「でもなまえちゃんは絶対やらんで」
「は? な、なんの事…」
「そんなん見てたらわかるわ!ずーっと鼻のした伸びとんで!」
「なっ!?」

バッと思わず手で顔を隠す。
鼻のしたがのびてる!?
ルイスが「ほぉー」と目を細めてニヤニヤしている。
ムカつくから肩をどついてやった。

「んでさー、レオンはん。ちょっとお前の体かして欲しいなー」
「はっ!?」
「いっぺんなまえちゃんとちゃんとお話したいんや。ちょっとだけやし」

パチっと手を合わせて首をかしげる姿は中身は違えど可愛くて、「うっ」と息がつまる。

「わかった。なら、どうすればいい?」
「ほんまええ奴やなお前!!じゃ、ちょっと目ぇとじとって」

「これでいいか」といわれたように、目を閉じる。「ええよええよ」ととんっと額になまえの手が触れるのがわかった。
途端に何かぐるりと体が揺れて、意識が途絶えた。