「チート…?」

チートって、あのチート?
俺とルイス(そういえば居た)は意味がわからずぽかんと口を開いた。
なまえがフッとため息をついてから、床に仰向けの状態から起き上がり、それからあぐらをかいた。

「うん、せやな、お前らにはいろいろ説明せんとあかんな」

ちょっとお前ら、ここ座れ。と床をぺちぺちと叩くなまえ。
俺とルイスは顔を見合わせてから床にあぐらをかいた。
「そーやなぁ、まずどこから話そうかいなぁ…」と頭をガシガシとかきむしるなまえに、ルイスが「じゃあ、お前はいったいなんなんだ」と訊ねた。

「そうやな、そこから始めるのが良えかもしれん。俺は、空時」
「うつ、ちか…?」
「そ、うつちか。始めてあった時、俺はお前らに"なまえの守護霊ですー"て言うたけど、厳密にっていうか、正直いうと違う。じゃあなにかっちゅーと…、神様や。」

神様。
なまえから、いや空時の口からでたその言葉に俺とルイスはまた顔を見合わせた。

「お前みたいな変なしゃべり方のやつがイエス・キリストだってのか?まず名前がちがうぜ」

ルイスが可笑しそうに言う。俺も思わず隣でうなづいた。
空時がまた頭をガシガシとかきむしる。

「あーーいややわぁ外人さんて!!神様言うたらイエスキリストのおっさんしかでえへんのか!
ああ!もう!
お前らにはちょっと神様と日本の文化について説明せなあかんな!」

まぁな、神様いうたらあのオッサンかもしれんけどな!
神様って案外いっぱいおんねん。日本には八百万の神いうて、森羅万象、傘にでも靴にでも、トイレにも、トイレットペーパーにも神様がおるんや、紙だけにな!
おい、こら笑えや。ここ笑うとこや。
まぁええ。んで、俺はそのうちの一人。
代々なまえの家に受け継がれ、祀られて来たこの日本刀に宿った神様。
一応神様やし、俺にはそれなりの力がある。
怪我を治すのも難しくないし、時を操り、時空を超える力も持っとる。
ま、大体の奴はそれくらい当たり前に出来るんやけど俺はそれがちょっと秀でて凄い感じなわけ。
わかった?

空時はいつ息継ぎをしているのかと思うほどのマシンガントークでまくしたてる。
それに圧倒しながらも、とりあえずうなづいた。

「そ、じゃあこっからが本題な。
あんな、実はなまえはこの世界の人間じゃないんや」
「は…?」
「それはどういう意味だ?」
「どういう意味も何もそのまんま。なまえはこの世界のやなくて、もっと平和な、こんなわけの分からん生物がうじゃうじゃおらん世界の人間や」
「俺がはじめあった時は、誰かに連れ去られたと言っていたが…」
「アホかお前は…。そんなん嘘に決まってるやろ!初対面の奴に"違う世界からきましたーエヘ★"って言うて信じてもらえると思うか?」
「それは…確かに…」

やろやろ?と得意げに言う空時にもう一つ湧き出た疑問を投げかける。

「なまえが他の世界から来たのはわかった。そう言えば、なまえは始めてあった時、俺が自分の名前を名乗っていないにも関わらず、俺の名前を知っていたんだ。それも、またなまえが他の世界から来たことに関係があるのか?」
「うん…まあそれもやな…うん…」

先ほどまでのマシンガントークと打って変わり、空時がモゴモゴと渋る。

「これは君らにはチョット酷な話かもしれん…」

違う世界、つまり異世界って言うもんはクソほどあるんや。
なまえのいた世界と今君らがいる世界だけやない。
他にも数えきれんほどにある。

そんで、なまえのいた世界にはあるホラーゲームがあってやな、それが、今君らが居るこの世界。なまえが好きなゲームの世界。
まあ厳密にいえば、そのゲームに酷似した世界やねんけどな、
でもなまえからすれば君らはそのゲームの世界の住人。
だから君らの名前も知ってるし、これから起こることも知ってる。まあ、酷似やし、少しはちがうやろうけど、それでも
名前がさっきその髭面のおっさんを突き飛ばして怪我を負ったもの、お前があそこで怪我を負う事を知ってたからや。

「俺達がゲームの中の住人…?」
「いや、だから酷似やで?ちょっとちゃうねんで?言うとくけど君らが見た映画とか、やったゲームに酷似した世界もあるんやで。だからこれはそのうちの一つ。
でや、話がずれた…なんでなまえがこんな世界に来たかって話がしたかってん俺は!」
「ああ、じゃあ本題を話してくれ」
「うん、まあそれはザッと俺のせいなんや!」

どん!と空時が胸を張ってふんぞりかえる。
思わず「は?」と間抜けな声がでた。