「やだなぁ…レオンさんったら」

そう言って笑うなまえに対してゾクリと寒気がする。
その時、「レオン、もう大丈夫なの?」とアシュリーが二階から降りてきた。

ふっとなまえの視線がアシュリーに向く。
それからなまえが「ほぉ」と呟いた。


「あらー、えらいべっぴんさんやなぁ!おっぱいも大きいし!」

そうケタケタ笑いながら喋るなまえに「な、なに?誰よあなた!」とアシュリーが怒る。
その喋り方は明らかになまえの物とは違っていた。

「お前、一体誰なんだ?」
「いややなぁ、なまえちゃんやでぇ」
「嘘だ。なまえはそんな喋り方ではなかった」
「うーん本間やねんけどなぁ…、まぁ、強いて言えば中身はなまえちゃうけどな」
「…どういう事だ?」

不可解な言葉に眉を潜めると、「なんて言おかいなぁー」となまえが頭をかく。

「せやなぁ、俺はなまえの守護霊みたいなもんで、今は俺がなまえちゃんの身体を乗っ取ってるわけやなー」
「なぜそんなことをする?」
「なぜ?そんなん決まってるやん!若造!お前やお前!お前が俺のかわええなまえちゃんとはぐれるからやな!おっさんに捕まって痛い思いしたんや!せやから宛にならへんレオンさんなんかより俺が守ったろー思てやな!」
「…それはすまない、それで、大丈夫なのか?」
「あほっ!大丈夫やからこうやって動いとんのじゃ!まぁ、俺が憑いとるからなまえちゃんも少々動けるけどなぁ!か弱い女の子やで!あんさんが守ったらな死んでまうで!俺もやなぁ出来ればちゃあんと最初っから最後まで守ってやりたいねんけど、あいにく本間に久しぶりに動いとるから、体力もたんのやー!せやからあんたが守ったらなあかんねんで!たのむで!あーもう話してるだけで疲れてきたわー…」
「沢山喋ってるからな」
「あほっ、関西人はよーさん喋るんじゃ!」
「カンサイジン?」
「まぁそんな事はええねん!とりあえずやな、しゃーないから!しゃーないからなまえちゃんの事預けたんねんで!怪我さしたり、一ミリでも手ぇ出したら後ろから叩き切るからな!!」


そう早口でまくし立てたとおもづたら、ふっとなまえの身体が崩れた。
慌てて身体を受け止める。
支えた身体は思う以上に軽かった。

「おいレオン、さっきのは本当なのか」

ルイスが何がなんだかわからないと言うように首を傾げた。

「わからん…しかし嘘には思えないな」

そう言って自分の腕の中のなまえを見つめる。
すると、「ん」と小さく唸って目をあけた。


「なまえ…?」
「…あー、レオンさん?」
「大丈夫か?」
「あれ、私村人にどっかにつれてかれてー、あれ…?」
「良かった、なまえだ」
「?、意味わかんないですよ」
「いや、色々あってな」