「入るぞ」

声がして障子が開く。もんじろうさんとそれからもう一人、黒い着物の若い男性が入ってくる。
黒い着物の男性は、私の前にかがんで、目線を合わしにこりと笑った。

「はじめまして。私は土井半助です。ここで教師をしています」
「は、はじめまして。みょうじなまえです。土井、先生?ここは学校なんですか?」
「はい。ここは忍者のたまご、忍たまを育てる学校、忍術学園です。」
「ニンジャ?ニンジャって、あの、忍者?」
「どのかは分からないんですが、忍者です」

土井先生は「ははは」と笑う。
そして「なまえさんの事教えてくれませんか?」と言った。私はうなづいて、気づけば知らないところにいて、とりあえずどうにか家に帰ろうと山を彷徨っていたら山賊に襲われ、そこをもんじろうさんに助けられたという事を話した。しかし、自分がタイムスリップしたであろうと言うことは黙っておいた。そんな変な事を言っても、頭が可笑しいと思われるだけだと思ったからだ。

私が話している間、土井先生はずっと微笑みながらうなづいて、いた。そして、話しが終わると、「そうかい、それは大変だったね」と私の頭を撫でた。

「怪我もしてるようだし、今日のところはここでゆっくり休みなさい。明日からの事はまた明日話そう」
「はい」
「伊作と文次郎は今日はこの子のそばにいてくれるかい?」

土井先生がそばにいた二人に聞くと、二人は「わかりました」うなづいた。

「それじゃあ後は二人に任せるよ」

「わからない事があったらなんでもこの2人に聞くんだよ」そう言って土井先生は出ていった。

「なまえちゃん、だよね。僕は善法寺伊作。よろしくね」
「善法寺さん、ですか」
「それからこっちが、ほら、文次郎、君が助けたんだから自己紹介くらいしなよ!」
「あ、ああ、俺は潮江文次郎だ。よろしく」
「善法寺さんと、潮江さん、ですね。えっと、知ってると思いますが私はみょうじなまえです。いろいろすみません、それからありがとうございます」
「ううん、良いんだよ。なまえちゃんは怪我してるんだから、ゆっくり休んで!」

「ね?」と善法寺さんが微笑む。その笑顔でちょっと緊張で引きつっていたほっぺたが緩んだ。