「うーん…」

ごろりとソファーに寝っころがり、さしておもしろくもないテレビを眺める。
いつもならウェスカーさんが横にいたり、ちょっとでも私が気を抜いてると触りに来たりするくせに、ここ最近なんだか忙しいようで、そんなことも少なくなった。

平和で、いいことだと思う。

でもなんだかすごく物足りない。
なんというか、ソファーでゆっくり昼寝できるし、お風呂ものぞかれないし、ベッドも一人で広々使えるんだけど…

うーん、とうなっていると、後ろからガチャリと扉の開く音がする、
「ウェスカーさん?」とドアのほうを見れば、そこにはウェスカーさんじゃなくて、あのチョココロネみたいな頭のおばさん、否、エクセラさんが


「アルバートじゃなくて残念ね」
「いや、そんなこと…」
「今日も忙しいから帰ってこないわよ、きっと」
「……、そうですか。あの、貴女はなにしにここに?」
「ちょっと、アルバートに頼まれたのよ」

とウェスカーさんがいつも私には触らせてくれない棚を開け、そこから薬品のようなものを選んでアタッシュケースに入れていくエクセラさん。

それらを詰め終えて出ていくのかと思いきや、私のほうを見て、整った口元をにやりとさせこういった。

「アンタよりアタシのほうがアルバートのそばにいるんだから」
「はっ…?」

どういう意味ですか?と聞く前にエクセラさんは颯爽と去って行った。
なんだかイライラする。なにが「アタシのほうがそばにいる」だ!


「私だって…」

ポツリとつぶやいた言葉は、自分以外誰もいない部屋の中、テレビから聞こえる笑い声に飲まれて消えた。


ああ、私、
(なんで放っておくんだ)
(あのグラサンやろーめ)