赤服の邪教徒さんと全力で追いかけっこをして、とっ捕まえて手に入れた鍵でサロンに入る。
そこには壁に四枚の絵が飾られていて、「6人の犠牲によって真実の道が開かれる」と書かれていた。

「つまり、これをどうにかすれば道が開くってことですよね。あからさまなスイッチもありますし」
「俺は、あんまりこういうのは得意じゃないな…」
「そうですか、でも大丈夫ですよ、テキトーにやってれば開きますって」
「いや、しかし…」

「たったったらたららった たったったたらたららった たったったらたららった ピタゴラスイッチ!」
と歌いながら、覚えている通りにスイッチを押して行く。
ばたんばたんと絵が動き、そして壁が動いた。

「ほらね!」
「なまえにはまいったよ」


現れた隠し扉をあける。
するとそこにはニヤニヤとなにやら嬉しそうに笑っているサラザール坊ちゃんが待ち受けていた。



「おやおや、用なしの方ですか…それと…」
「人呼んで!ジェノサイダーなまえ!覚えろよな!」
「……、アシュリーはどうしました?」
「あれ?なに無視?あれ?」
「用がないならほっとけよじいさん」
「レオンさんも無視?無視?だれも何も言ってくれないの?」
「年寄扱いですか。これでも20歳なのですよ」
「お前も所詮虫けらの操り…どうしたなまえ?」
「いえ、べつに、二人で仲良くお話ししてればいいんじゃないいですか?」
「私を低俗なガナードと一緒にー…」

つーんと体育座りで床にのの字を書きながらそういうと、レオンさんがしゃがんで私の頭をわしゃわしゃとなでる。

「なんだかわからんが…ごめんな」
「レオンさん…」
「なまえ…」
「ッ…ジャマ者を始末しろ!!!」
「ったく空気の読めないおっさんだなぁ…」
「私はまだ!20歳です!」


ぷりぷりと怒りながら去っていくサラザール坊ちゃんの背中にべーっと舌を出して「ばーか」と言ってやる。
そんなことをしていると、じりじりと邪教徒たちが近づいてきた。

「もー、どいつもこいつも!!」


* * *

「いやぁーつかれたー」
「休むか?」
「いえいえ、まだまだ行けますよ」

ぎっ、と扉のドアを開ける。
そこには広大な庭が広がっていた。

「外だー、気持ちいー」

エントランスに肘をかけて庭を眺める。
さらりと頬を撫でる風が心地いい。
まぁ、良いセンスとは言えないけど、この際そんなことはどうでもいい。
ここが終わったら、エイダが来て、それからルイスさんが…、

「はぁ」

この後のことを考えると溜息が出る。
助けたいけど、私に助けることができるのだろうか…。

「どうにもできなかったらどうしよう…」
「なまえ?」
「はい?」
「本当に大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですよ」

「どうしたんですか?」と聞くと、レオンさんは「いや…」と言って私の頬を撫でた。

「レオンさん?」
「なまえ…俺は…」



レオンさんが何か言おうとしたとき、タイミングよくサラザール坊ちゃんから電話がかかってくる。
レオンさんが対応している間、私はサラザール坊ちゃんがどっかで見てんじゃねーのかと周りをキョロキョロと見回しす。

「まったく、ふざけたヤツだ」
「あ、終わりました?っていうか、レオンさんさっき何言おうとしたんですか?」
「いや、なんでもないんだ。とりあえず、あの部屋に入ろう」


とレオンさんはあのエイダ姐さんがカッコよすぎるイベントが起きる部屋を指さした。
しかし、当然というかなんというか、扉は固く閉ざされていて、びくともしなかった。


「このくぼみに何か入れるのか?」
「みたいですね…。まぁ、鍵があるとするなら、まーこの庭でしょうねぇ」
「こんなに広いと嫌になるな…」
「いや…大体目星はつきますよ。あそこ高くなってるとこか、あの噴水ですね!」
「どうしてだ?」
「え、ああ、ゲーマーのカンですよー」

「だって場所知ってますもん!」とは言えず、適当なことを言ってえへへーと笑ってごまかす。
レオンさんはすこし考える素振りをして「じゃあ、行ってみよう」と言った。

「なら二手に別れましょう」
「大丈夫か?」
「大丈夫ですよ!強い味方も二人いますしね!」
「二人?」
「レオンさんと、この刀。だから、大丈夫です!」

ね?というと、レオンさんは「わかった」と微笑んだ。

「何かあったら、叫んで俺を呼んでくれよ」
「分かりました。じゃあ私はあの高いところを当たります」
「なら俺は噴水を当たるよ」
「じゃあ、いってきます」
「ああ」

レオンさんと別れ、一人になる。
このエリアには大量のわんこ、少々心配だけど、まあ何とかなるだろうと踏み出した。


* * *


「結構迷っちゃた。けど月の欠片ゲットー!」

いよっしゃ!と言っていると後ろからぐちょぐちょという嫌な音がした。
音がするほうを向けば、そこには背中から無数の触手を出しているわんこ×5

ここまで会わなかたからラッキーとか思ってたけどやっぱりそうはいかないかぁ。

ふぅ、とため息を着いてポケットから閃光手榴弾をとりだす。(まえも言ったが、乙女のポケットはドラえ○んのポケットなみにすごいのです!)
そしてピンを引っ張って、「ほーれほれとってこーい」と投げた。

プラーガに寄生されてもやっぱり犬は犬なのか、私の投げた手榴弾に五匹そろって群がり……

まばゆい光に目を細めながら、「たーまやー」と言ってみた。
うむ、実に汚い花火である。