今日は久しぶりに悪夢に苛まれることもなく、いい夢を見た。
とても暖かい、随分と懐かしい感じ。

もっと見ていたい、まだ見ていたいと思ったけど、ふっと目が覚める。

目の前には目を見開いた男の人。
何か言っているけど、私は「ああ、温かかったのはこの人か〜…」なんて寝ぼけながらぎゅっと抱きつく。
とっても温かかった。
ドキドキと鳴っている心臓の音が心地よくて、また目を閉じる。

しかし、男の人は私を寝かせてはくれず、肩を叩いて何か言っている。
今日は休みなんだし、せっかくいい夢も見てたんだから寝かせてくれよー…、なんて思ったけど「ちょっとまてよ、男の人?私って一人暮らしだったよな?」と思い出し、半分寝ていた脳みそは一気に覚醒してバッと目を見開いた。

目の前にいる知らない男の人。しかも外国人。


「なーーーーーっっ!!!!????」
「……!!!」



びっくりして私は跳ね起きる。
男の人もつられてか私と一緒に跳ね起きた。

「なっ!なっ!なななっ!」

誰?何?どうして?と聞きたい事が一気に溢れ出してきて上手く言葉にならない。
そんな私より男の人が、先に口を開いた。


「あー、私はジェイムス・サンダーランド。此処は?」
「う、あ、ジェイムス…さん?ここ、私の家って…なんで…ちょ、まっ!」
「ちょっと落ち着こうか」
「イエッサー!」

すーはー!とおもいきり深呼吸をする。
それからどんどんと胸を叩いて色々整えた。

「よっしゃ!オッケーです!ドーンとこいっ!」

ビシッと親指を立てると、ジェイムスさんはにこりと笑ってまた話し出した。

少しの間話して、いくつか分かった事は、ジェイムスさんは目をさましたら何故かここに居たということ、目をさますまえは何をしていたか全く思い出せないということ。
ちなみに、私の家は夜は家中バッチリ鍵を掛けていて外からは誰も入れなかったはずだ。

「これは、複雑怪奇ですね……」
「私が夢遊病患者でも鍵を開けて入るのは無理だね」
「て言うかふらふら〜っと来れる距離何ですか?」
「え、いや、そう言えばこの辺りはどこなんだい?」
「どの辺りって…えーと、日本のー…」
「日本!?日本ってあの、日本?」
「え、なんのか分かんないですけど日本ですよ」


「どうかしました?」と言うと「いや…」とジェイムスさんは口ごもる。


「もしかして、君は今日本語をしゃべってるのかい?」
「え、そうですよ、ジェイムスさんだって日本語喋ってるじゃないですか」
「そんな、だって私は今英語をしゃべっている気で…そもそも日本語なんて話せないし…」
「いや、それってでも……」
「…………」


思わず二人で顔を見合わせる。
それってこれって……、まさかの……


異世界トリップというやつですか?