うおおお!マジで家に帰りたいマジで!いやだってさ!だってさ!うんそうだな、まず今から言うことを聞いてもらいたい。

私はレオンさんに、レオンさんはゲームの世界の人物だとは言っていない。ただ、何かうやむやな感じで「あはは、びっくりだねー、レオンさん変なとこに来ちゃったんだねー」と言っただけだ。
何故なら、それをどういう風に言えばいいのか、すっからんの私の頭じゃ解らなかったからだ。それから、それを言った時のレオンさんの反応を見るのが引けたのだ。
だってさ、普通自分がゲームのキャラだなんて言われて、はいそーですかとは言えないじゃないですか!

そこでだ!私はどういう風に伝えようか時間を掛けることにした。

しかし、私はやはりアホだった!

本棚に綺麗に並んでいるバイオ初代からリメイク版、それから攻略本の存在をすっかり忘れていたのだ!


「あああ、本棚に近づいてないと良いけど…いや、でもあんなに堂々と置いてるし…ああああ、お腹痛くなってきた…!」


なんてブツブツと呟いていると先生に「みょうじ!腹でもいたいのか?」と言われた。
先生、当たり!


* * *


「ねー、今日遊びに行かない?」
「ごめん!今日はパス!」
「えー」
「ごめんね!」

ホームルームが終了したとほぼ同時に、友達からの遊びの誘いを断り教室を飛び出す。
道と言う道を走り抜け、やっとの思いで部屋にたどり着いた。

「はぁ…た、ただいまです」

そっとドアを開けて、部屋に踏み込む。
なぜこんなに恐る恐るなのかは分からない。

「レオンさん?」
「あ、ああ…お帰り」

パタン、とレオンさんは読んでいた本を閉じる。そして、「あー」と唸った。

「少し、いいか?」
「はい」


私は、レオンさんの前に正座して二人向き合う。
しん、とした空気になった。なんだこれ、お見合いみたいだ。いや、お見合いなんてしたことないんだけど。
なんていう、変な考えは、レオンさんの「これの事なんだが」と言う言葉で途切れた。


「これは…」

レオンさんの手には、バイオハザード4と大きく書かれた攻略本。
やはり、見たんですね…!!!!

「これは、えー…その」
「ああ」
「非常にややこしい話になるのですが…」



(取りあえず、落ち着いて聞いていただきたい)