近所の散歩が思ったよりも楽しくて、随分遅くなってしまった。
もう五時半で、当たりは少し薄暗くなっている。なまえはもうとっくに学校から帰ってきている時間だ。

心配したかな?
そう思いながら、部屋のドアを開けて、「ただいま」と言うが、返事はない。それに部屋の電気も着いていない。


「なまえ?帰ってないのー?」


もう一度声を出してみるが、やはり返事は返ってこない。
「まだ帰って来てないのかな?」と思いながらパチンとリビングの電気をつけて、初めてソファーに突っ伏すようにして寝ているなまえに気づいた。

蹴飛ばして起こしてやろうと側に近づく。
が、少し様子が変な事に気づいた。
「なまえ?」と名前を呼んでも何の反応もなく、少し強く肩を揺らすとそのままズルズルとソファーから崩れ落ちた。

「わ、なまえ?大丈夫?」

崩れ落ちたなまえを慌てて抱き起こすと、身体がとても熱いことに気づく。
おでこに手を当てると、もっと熱かった。

「うわぁ、凄い熱…」

馬鹿は風邪ひかないんじゃなかったけ。と思いながらも、ほったらかしにしておく事なんてできないので、抱き抱えてなまえの部屋に運ぶ。
その身体は驚くほど軽かった、と言うわけではなかったけれど、やはり普通の体温ではないから、どうしようかと考える。


「汗すごいなぁ」

よほど熱が高いのか、なまえの顔や首筋は汗でしっとりと濡れていた。
こういうとき、普通は着替えさせると思うんだけど、なまえは寝てるし、僕は一応男だし、

と思ったけどなまえだからいいか。
と制服のボタンに手をかけ、脱がせていく。だからと言って流石に素っ裸にするわけにはいかないので、最低限の服を脱がせ、それからいつも来ているパジャマを着させて布団を掛けてやった。


「ぅ…おか、さ……」


ベッドの上でうんうん唸るなまえ、これはつついていじめたくなる。
ああ、起きたら服を脱がせたって怒られるかもしれない。だけど、その反応も面白いから、まあ良いか。


「うぅ……ぅ…」
「しかたないなぁ、ほんと」



(元気になったら苛めてやるんだから)