「所で君の名前を聞いていなかった」
「へ?そうでしたっけ?」
「ああ」
「えー、みょうじなまえです」
「なまえか」
「はい」
「なまえ、これからよろしくたのむ」
「………うぎっ」
「どうした?」
「れ、レオンさんのたらし!天然たらし!」

そんなイケメンな顔でしかも微笑みながらってダメなんだぞ!
鼻から赤い汁が出ちゃうじゃん!
こんな人通りの多い道の真ん中で鼻血出してたらただの変態さんだよホント!


「なまえ?」
「き、今日の晩御飯、カレーですよぉぉおお!!!」

興奮と恥ずかしさ(8:2)で私は思わず走り出す。
それから、「レオンさんは私の家への帰り道覚えてないかも!」と思い、30メートルほど走って止まった。
おずおずとレオンさんの方をを見ればクスクスと笑っている。
私は苦笑でそのままレオンさんが追いついて来るのを待った。



* * * *



「ん、うまい…」
「よ、よかった!」
「なまえは料理がうまいんだな」

そう言いながらカレーの乗ったスプーンを口に運ぶレオンさんを見て、何だかとても気恥ずかしくなる。
料理でほめられたことは父親にしかなから(そりゃあ、とてもとても大袈裟に)、一応国の違うレオンさんにほめられるともう、ね!顔から火が出るんじゃねーかと、


「そうだ、レオンさん」
「ん?」
「今日から、あのベッドで寝てくださいね。私のベッドで悪いんですけど…。あ!シーツもカバーもバッチリ変えたんで大丈夫ですよ!」
「だが、なまえは?」
「私は下に布団引いて寝ます」
「いや、俺が下に寝るよ」
「いやいや、私ですって」
「そんな、女の子を床に寝させるなんて出来ない」
「その心遣いはとても嬉しいんですが、床に寝るのは日本人の得意分野ですよ!つらい訳がありません!」
「そうなのか」

はじめて知った、とレオンさんはつぶやきまたカレーを口に運ぶ。
床に寝るのは日本人得意分野、ってあながち間違いじゃないよね?最近はベッドが多いけど、やっぱり日本人は床に布団だよね!



そのあと、二人で食器を片付け、テレビを見ながら談笑し、レオンさんをお風呂に案内した。
レオンさんがお風呂に入っている間に私はいそいそとベッドの隣に布団を引く。ほんとはもっと(レオンさんのいろんな意味の身体の安全のため)離れたほうがいいんだろうけど、生憎部屋が狭いため、「しかたないよね〜」とニヤケながら布団を引いていたのは内緒だ!


「シャワーありがとう」
「あ、出ましたか……っぶはぁ!れれれれレオンさん!」
「なんだ?」
「上着てくださいよぉぉぉお!」
「ああ、すまない」

シャワーから上がったオンさんは、素敵な上半身を晒しておられた…!
これがゲームならば「うひょおー!」なんて叫んで写真をバシャバシャ撮っていそうだが、本人の前でそんな事ができるはずもなく、ぐらつく理性と吹き出しそうな鼻血を堪えるので精一杯だった。


(レオンさんは無意識だけどとんでもない爆弾だ!)