「こんなもんですかね!」

ふん!と今日買ったものを持ち上げる。
Tシャツとカッターシャツを3枚ずつ、ジーンズを二本、そのたもろもろ。
流石日本。こんなに買っても一万以内。

「ビバ★日本!」

すごいね、安いね!何て心の中でふんふんしていると、レオンさんが私の頭の上で「あ」と言った。
「どうしたんですか?」と聞けば、レオンさんはスッと玩具売り場の方に指を指した。
そこには、着ぐるみのウサギとおっきい男の人と子供がうじゃうじゃいた。
どうやらウサギは風船を配っているらしい。

「レオンさん、風船欲しいんですか?」
「いや、ただ、平和だと思ったんだ」
「レオンさん…」

突っ込んでくれない事に少し寂しさを感じながらも、レオンさんのその重みのある言葉にジンッとしてしまった。
そうだよね、レオンさんはいっつもゾンビとか変なオッサンに追っかけられてるもんね!波乱万丈だもんね!

「きっと、レオンさんがここに来ちゃったのは、神様が休んで良いって言ってるんですよ。危険な任務もゾンビとかガナードも居ないところで休んで良いって」
「そうだといいな」

そう言ってから、レオンさんは私の手から荷物を奪い取った。
「持ちますよ!」と言ってもレオンさんは「女の子に荷物を持たせるわけにはいかないな」なんてキザな事を言って笑うだけである。

笑いながら歩いていくレオンさんを追っかけようとすると、後ろから「ねぇ」と声を掛けられた。
ビックリしながらも振り向くと、さっきウサギの所にいたおっきな男の人(レオンさんよりも少し大きいぞ)がいた。手には赤い風船を持っている。

この人も外国人らしく、金とも銀とも言えるキラキラした髪をしていた。

「はひっ?」

英語で話されたらどうしよう!とかドギマギしていると、男の人は流暢な日本語で「君とおんなじ服の子この辺で見なかった?」と聞いてきた。


「え、いや、見てないです」
「そっかー、ありがとう」

そう言って微笑んで、男の人は「これあげる」と言って持っていた赤い風船を私に差し出した。

「ありがとうございます」
「じゃあ、バイバイ」

風船を受け取ると、男の人は、もうすぐ暑くなると言うのに着けている長いマフラーをなびかせてまたウサギの方へと走っていった。
あの人は迷子なんだろうか。あんなにおっきいのに。じゃあ私とおんなじ服の子が迷子何だろうか。と思っていたら、私の横を私と同じ制服を着た女の子がウサギの方に走っていった。
「どこ行ってたんですか!」と言う声が聞こえてくる。
どうやら男の人が迷子だったらしい。

私は少し先で何事かとこっちを見ているレオンさんの元に駆け寄った。
それから「レオンさんは迷子にならないでくださいね」と言うと「君が迷子になりそうだ」と言われた。

なんと、失礼な!