「お茶どうぞ」
「ありがとう」
「いえいえ、所で、貴方誰ですか」
「レオン・S・ケネディ。アメリカでエージェントをしている」


○ ○ ○ ○


私は至って普通。いや、もしかしたら普通じゃないかもしれないけど、普通と言っておく。オタクだとか腐ってるとかそう言う事は無いのでして。いや本当に!

幼い頃に親は離婚。
父親に引き取られ、仲良く暮らしていたのだが、忙しい父は転勤転勤転勤の嵐でして、「私はもう一人でも大丈夫だよー!」と言うことで、只今絶賛一人暮らし中である。
(ちなみに、若い女の子なんだから、一人じゃ不安だわ!なんて言ってくれる人はいない。)

父の遺言は『寂しくなったらお父さんに電話するんだよ』である。あ、まだ父は死んでなかった。


そんな私は、今日は近所のスーパーで安売りしてた卵を買ったから、それで卵雑炊でも作ろうか。 と考えながら、自分の部屋があるマンションのエレベーターに乗り、部屋の鍵を開け、部屋に入った。

すると、玄関にあり得ない物と言うかなんというか、とりあえず何で拳銃持った男の人(しかも外国人でイケメンだ!)が家にいるんだ!?しかもコッチにおもっくそ向けてますが!!


「なななな、な!な!な!う、うあああああああああナンカイルー!」


泥棒ですか!?なんですか!?
危ないじゃないか!いやいや、それ以前に、『アイアムチキン!』な私はうわぁぁぁあん!殺さないでー!警察には言わないから殺さないでー!と泣き叫んだ。
すると、男の人は「なんだコイツ」みたいな(冷たい)目をして銃を下ろした。
あれ、なんだか心が痛い。撃たれたかも。

それから何だかんだとあって、冒頭に戻る。(けして作者の手抜きとかそんなのでは無い、はず。)



「………………は?」

第一声はコレである。いや、普通コレでしょう。
鍵がかかっていた家に居た拳銃持った外国人さんに恐る恐る「貴方誰ですか」って聞いて、「レオン・S・ケネディ、アメリカでエージェントしてます★」なんて信じられるかコノヤロー!アメリカ?エージェント?レオン・S・ケネディ?
バイオハザードじゃねえか!このコスプレ野郎!頭オカシイヨ!

なんてチキンな私は言えるわけがなく。
また恐る恐る口を開くのだった。


「あー、レオン・S・ケネディさん?」
「レオンでいい」
「じゃあレオンさん、貴方…どうやって家に入ったんですか?」


ここ問題!家には鍵がかかってたのに入れる訳がないんだ!
ちなみに合鍵を持っているのは父親だけで、父親がこんな外国人のムキムキのついでにイケメンとかそんな事は無かった。


「それが分からないんだ。いきなり頭痛がして気づいたら個々に居て、またガナードたちの仕業かと思ったんだが…」
「はあ、」
「君には銃を向けて悪かった。ガナードだと思ったんだ」
「うん、私泣かないよ!」
「……、何があったか分からないが、俺は任務に戻らないと、失礼したな」

レオンさんは立ち上がり、置いてあった拳銃をガチャっと装備して玄関に向かった。
その後ろ姿はとてもかっこ良くて、ほうっとしてしまった。
それからハッとして急いでレオンさんを掴む。

「ちょちょちょ!今から何処に行くんですか?」
「任務だが…」
「ここ、日本ですけど、ここでするんですか?」
「!?、日本?」


「あ、もしかしたらこれって」とその時私はハッとして、一つの考えが浮かんだ。
これはもしかしたらオタ…いや乙女の夢であり、王道である逆トリップ、略して逆トリではなかろうかと!

「それならこの超不可解現象も説明がつくけど…」

でもなぁ、とレオンさんを見上げる。
レオンさんは何がなんだか分からない、と言う顔をしていた。

「…、イケメンだからいっか!」

これは逆トリと言うことにしようではないか!ワンダフル!ビューティフォー!
不思議な事も有るもんだね!


「いつか生身で空も飛べるんでなかろうか…」
「?」