「………げっ」
「なーにが『げっ』よ」

「失礼だな!」と友達が言う。「中に入れてよ」と言うけど、絶対入れられないので、私はドアの隙間からちょっと顔をだして叫んだ。

「帰ってください新聞なんか要りません!」
「新聞じゃねーし!課題とプリント持ってきてあげたのに!」
「ありがとありがと、でも風邪うつるよ!」
「あんた今日風邪だったの?」
「うんそう。だるくてだるくて、起きられなかったんだよ。はいバイバイ!」
「ちょ、なまえ…」

友達からプリントを奪い取りドアを閉めようとすると、ガッと止められた。

「なんでそんなに嫌がるのよ!」
「ほら熱が38度あるから!ね!それに咳も止まんなくて!ゴホっゴホゴホ!」
「ギャー!汚い!止めろ!」
「そんな事言われてもね!ゴホゴホゴホ!」

馬鹿!止めろ!帰ってくださいー!なんで?風邪だって!ギャー!!!!
なんて友達と10分くらい格闘していたら、ようやく友達は諦めて「さっさと風邪治して学校来なさいよー!」と捨て台詞を吐いて帰っていった。
しかし、なぜアイツはあんなにしつこいのだろうか…


「疲れたなしかし…」


はぁ…とため息をつくと、イヴァンさんがクッションをもふもふしながら「なにやってたの?」と聞いてきた。
あ、かわいい…


「格闘、ですかね…」
「なにそれ、可笑しい」

くすくす笑うイヴァンさんに抱きついて撫で回したい!なんて欲求がむくむく心の底から出てきたけど、そんな事したらコルコルビーム(たった今命名)されるからやめておこう。

「ねー、僕お腹すいたー」
「カップラーメンしかないですよ」
「しかたないなぁ、それで我慢してあげるよ」
「有り難きお言葉…!」


だけどそれでも
(晩御飯はフカヒレが食べたい)
(いや、無理です!)