アメリカでの連合会議で、1日だけ家を開けることになった。
なまえちゃんを家に置いていくのは心配だったけど、なまえちゃんは一人で大丈夫と言ってメイドは雇わせなかった。
だからと言ってスペインやプロイセンを呼ぶのはもっと心配だ。
(何されるかわかったもんじゃないしね)


終わった、やっと終わった!そんな気持ちとなまえちゃんに早く会いたいという気持ちで自然に駆け足になる。

もうすこし、ドアまでもう少し、さぁドアノブだ、ひねって、ドアを開けて、なまえちゃんの名前を呼べば、

「よぉ」

ドアノブをひねってもないのにドアが空いた。最初はなまえちゃんが開けてくれたのかとも思った。が、出てきたのは、今一番家に入れたくないやつだった。


「っ!?…プロイセン!」
「今はギルベルト様、だな」
「どーゆう事よ」
「中に入ってゆっくり話そうぜ」

ほらよ、とドアを大きく開け、部屋に招く素振りをするプロイセン。
何だか嫌な予感を感じながら部屋に踏みいった。


「フランシスさん!お帰りなさい!」
「なんや〜もう帰ってきたんかー」

「晩御飯出来てますよ!」とキッチンからエプロン姿で出てきたなまえちゃんな後ろには、これまたエプロン姿でパスタを両手に持ったスペインが居た。





リビングのテーブルにパスタを並べ終えたスペインと俺の横に立っていたプロイセンを掴んでズルズルと自分の部屋に連れていく。

「で、どういうこと?」
「どうもこうも、いまから晩御飯やでー」
「そういうことじゃなくてさ、何でいるの?」
「なまえを見にきたんだぜ!」
「は?」
「お前が女連れてるって聞いたからどんなのかと思って見に来たら、すっげー可愛かった!」

ケッセッセッセ!と笑うプロイセンをジトッと見ると、「なんだよ、キモいな」と言われた。

「何時から来てたんだ?」
「今日の昼からだよ。ちなみお前の事全部洗いざらい話してやった!ケッセッセッセ!」
「なっ!」
「ま、俺らが国って事は言うてへんけどな」
「おぉ、だから俺はギルベルトでコイツはアントーニョだ。で、まだお前はちゃんとフランシスだ」


プロイセンは「俺らが国だってばれたくなければちゃんとそう呼べよ」と言ってから「腹がへった!」と叫んでリビングに戻っていった。

「まぁ、もしお前がなまえちゃんを好きなら、ちゃんと言うてあげたほうがええと思うけどな。たとえ何て言われてもな」
「スペイン…」
「ほんで、俺らは国であの子は人間や。ちゃんと考えなあかんで。」


そう言って俺の肩をポンと叩いてからスペインも「お腹すいたー」と言いながらリビングに行ってしまった。


俺は国で、なまえちゃんは人間。
分かってはいたけど、なかなか厳しいものだ。

俺は国だと人間に話せば、冗談だろと笑う人も、気味悪そうに俺を見る人もいた。
俺を国だと認めて知っているのは、国の上のやつらと俺と同じようなやつだけだ。
フランス国民だって皆が皆俺を信じて知っている訳じゃない。

それを、なまえちゃんに言って信じて貰えるだろうか、受け入れてもらえるだろうか。

冗談ですよね、と笑ってくれたらそれまでだけど、もしも気味悪そうに見られたら、冷たい目で見られたら、


「なーんかネガティブじゃん、お兄さんたら…」


求めることが愚かでも
(国が人間に恋するなんて、)