「ナンジャコリャ…」

あり得ないものを見た。
夢を見ているのかと思って、自分を殴ってみた。けど、痛いだけだった。

辺りを見渡す限り、人は皆着物を着ていて、男の人はチョンマゲだし、女の人は、あのなんて言うの?ぶわって感じの髪型だし、人力車が走ってるし、なんか建物は京都に有るような木造のやつだし、何だか時代劇のようだ。

「うわ、うわわわわ…馬も居る…」


思い切って、人が行き交う中に踏み出してみた。
途端に人々の目が一斉に自分に集まる。
何だか自分がここに居てはいけないような気がして、私は走って逃げた。

いくら走ってもやっぱりすれ違う人々は皆時代劇に出るような人ばかりで、

何だか訳が解んなくて泣きそうだ。
今、一人で言語の通じない国に居るみたい。
「なんか、もーやだ泣きた…ッ!?」

泣き言を言っているといきなり、ズキッと頭が割れるような頭痛が走る。

「っ…う…ぅ…」

ふらふらと建物に寄りかかり、そのまま座り込んだ。
痛い。痛すぎるぞコノヤロー。

「っー……」

もう駄目だ。意識を保ってられない。
チクショーコノヤロー、なんだってんだよ。車にはねられるし、変なとこ来ちゃうし、頭痛いし!本当に災難な1日だ!!

「ばかやろー…」と誰にかは知らないけど、とりあえず言っておいた。

意識がだんだん薄れる中、「先生!女の子が倒れておりまする!」と言う声が聞こえた。
いやいや、まだ倒れてないよ、倒れかけ、なん、だ…よ…………

ああ、もう駄目だ