パリを観光して、服を買ってあげて、フレンチをご馳走してあげたら、なまえちゃんは思った通りにあのふわふわの笑顔を見せてくれた。

何故そんなに必死になって彼女の笑顔が見たいのかと聞かれれば、多分一目惚れしたのだ。彼女の笑顔に。

こんなに真面目に恋に落ちたのは何年、いや何百年ぶりだろうか。
他の女の子と遊ぶ時より慎重に慎重にエスコートをして、なまえちゃんの肌に触ることさえ躊躇ってしまう。
手をとるくらい慣れた事なのに、なまえちゃんの手をとることは酷く難しく思えてしまう。

「なんて、なんかメランコリーだなあーお兄さん」

そんな事を言っても、返事は帰ってこない。
助手席に座っているなまえちゃんは、疲れたのかグッスリ眠っている。
俺の肩にもたれ掛かっているのを見て、自然と笑みが溢れた。



「よっ、と」

すっかり熟睡中のなまえちゃんをベッドに下ろす。
重すぎず、軽すぎずってとこだな!
布団を掛けて、なまえちゃんの髪をサラリと撫でた。改めて、日本人の髪はこんなに綺麗なんだと気づく。


「あぁ、こんな可愛い子が近くに居て、お兄さんの理性は大丈夫かなー…」

ははっと一人で笑ってから、もう一度綺麗な髪を撫でて、なまえちゃんのオデコにキスをして、部屋を出た。

明日もなまえちゃんの笑顔を見れますように。


俺だって恋くらいする
(変なところなんて見せられないな)