不幸にも事故にあって死んだはずが、何故かいきなり知らない家にいて、しかもそこは、あのファッションの国、フランスだったりした。なんて不思議で不条理。

夢を見てるんだ、とも思ったけど、事故に会うまでの1日は明らかに現実。
だったら事故が夢?とも思ったけど、あの事故も明らかに現実だった。だって痛かった!(まぁ夢でも痛みは感じるらしいけど)

死んだはすがフランスなんてなんて不思議で不条理。

と、そんな私がいた家の主はフランスだからフランス人のフランシスさん。
フランシスさんの家は、パット見ながらもとても大きくて豪華に見える。
若そうに見えるのに、お金持ちなんだなー、
それに日本語も凄く上手だ。


フランシスさんは、私が訳のわからない、普通の人なら信じない様な話を聞いてくれて、それから信じてくれた。
これからどうなるか不安で泣きそうだった私に「俺が何とかなるまで一緒にいてあげるよ」って言ってくれた。
なんてジェントルマンなんだろうか。


と言うことで、私は何とかなるまでフランスさんにお世話になることになった。

なんと部屋も一つ貸してくれるそうで、しかもそれがまた凄く豪華で綺麗な部屋だったりする。
こんな部屋貸して貰うなんて悪いと言うと、「お客様用なんだから気にしないでよー」と言われた。
お客用まで豪華なんて流石ジェントルマン!
そして今は、フランシスさんとパリ観光&買い物中です。

「んー、なまえちゃんだったらこれなんか似合うんじゃない?」
「ふふフランシスさん!?なに考えてんですか!?そ、そんなハレンチな…!」

フランシスさんはハハハハと笑いながら私に渡したのは背中がパックリ空いて大胆なスリットが入ったとても露出度が高いドレスだった。

「あはははジョーダンだよジョーダン
こっちなんかいいんじゃない?」
「あ、かわいい…ってうげぇぇぇ!?」
「んー?どうしたのー?」
「フランスのお金の単位なんて分かんないですけど、な、なんかゼロがいっぱいありますよ!」
「んー、大丈夫だよー、このくらいお兄さんにかかれば安いもんだよ」
「やっぱり高いんですね!止めときます止めときます、こんな高そうなの買ってもらうのは居候の分際で悪いですよ」
「子供は遠慮しないのー」
「はへっ?」

フランシスさんは、クスクス笑って、「女の子が可愛くなるためなら何だってしないとね」と言った。ふー!ジェントルマン!!


最終的にはフランシスさんは私が選んだ倍以上の服を持っていて、そんなに要らないと言っても「いーのいーの」と笑うだけで、服の数を減らすことはなかった。

額が何だか凄そうだったのは見なかったふりをした。

会計を済ませたフランシスさんは「じゃ、フレンチでも食べにいこうか」とにこやかに笑って私の手を取った。

「本番のフレンチは美味しいよ〜」
「まじですか!」
「そりゃ、お兄さんの……住んでる所だから」

その時、フランシスさんが私の手をギュッと握ったけど、私は気にもしなかった。


なんて不条理だ
(ところで、なんでフランシスさんはこんなに私に良くしてくれるんだろうか…)