「マジか……マジかぁ……マジなのかぁ……」

うーん、と頭を抱えていると、お兄さんが「君、本当に大丈夫か?」と聞いてくる。

「うーん、だいじょ、うーん、いやだいじょ、うーん」
「大丈夫じゃ、ないみたいだね」
「まあぶっちゃけ大丈夫じゃないんですけど、ここで大丈夫じゃなきゃ私これから世界を救うような使命が下ったときに何も出来ないような気がして!!!」
「いや、意味が分からないんだけど」

引きつった顔をしてそういうお兄さんを見て、私はハッとする。いけないいけない。またあの厄介な病気が出てしまった。気を抜くとすぐにでてしまうから気をつけないといけないと思ってたとこなのに。こう、すぐに出てしまうのだ。厨二病。


「はぁ……」
「で、君は大丈夫なのかい?」
「だいじょ、ばないです……」

ただ日本にぶっ飛んだだけなら未だしも、室町時代で生きていける気もしないので、私はとりあえず、私がホグワーツというイギリスにある魔法学校に通う魔法使いであり、その授業中にミスをやらかしてこんな事になったという、今までの経緯をお兄さんに話すことにした。


「ってなわけなんですよ!」
「つまり、君はもっと未来の世界から来た、って事かい?」
「そう、そうみたいなんです!」
「にわかには信じられない様な話だが、さっき敵を倒したあの術や、私の傷を癒した術をみると信じざるえないな……」
「信じざるえないというか、本当ですからね!!嘘偽りないですしね!!」

ああー!もうどうしよおおお!魔法ってとっても不思議で何があるからわかんないけど、まさか室町時代に行くなんて思ってもなかったよおおお!
てかホグワーツほうどうなってんの!?私がいなくなってどうなってんの!?私が居なくなって世界が止まったり?いや、むしろ私がいなくても世界は正常に進んでる!?
後者であれば……


「ぎいいやああああああ留年するうううううう!!!」
「君はいきなり黙ったり叫んだり忙しいやつだな」
「留年だけはやだよおおおおお!」

うわあああんと地面に突っ伏して嘆く。すると呆れたようため息が頭上からした。やめて、ため息つかないで。こちとらまじで死活問題。

「で、君はこれからどうするの?」
「え?」
「君は未来の人間で、どうもここの事も知ってそうもない。一人でやっていけるのかい?」
「そ、そうだった……留年に気がいって考えてなかったや……」

どうしようこの先。私ここで生きていけるのだろうか。
今まで物語の中のようなぶっ飛んだ事が起きないかなと望んでいたのに、いざ起こってみれば何をしていいのかサッパリだ。
こういう事なら、うちのクラスの毎年それこそ物語の中のような厄介事に巻き込まれてる三人組ともっと仲良くしておいて、こういう時の対処法を聞いておけばよかった。

はあ、と重いため息が漏れる。

「私は忍だけど、自分を助けてくれた右も左も分からない人を放っておくほど人間を捨てていないんだ」
「え?」
「しばらく私のうちに来るかい?」
「ま、マジ?」