「はい、多分これで動いても大丈夫です」 「あ、ありがとう」 杖を振って、癒しの魔法でお兄さんのを治す。完璧ではないけども、ここまですれば問題ないだろう。不思議そうに、さっきまで酷い切り傷のあった腕を見つめるお兄さん。私は今まで疑問に思っていた事を聞くことにした。 「あの、そう言えばここって何処なんですか?」 「ここは、カエンタケ城の領地だ」 「カエンタケ城の領地?えーと、カエンタケ、の前にズバリここは日本でしょうか!?」 「まあ、そうだけど……」 そう訝しげな顔をして答えるお兄さん。私はあーっと頭を抑えた。 日本、か。何で私日本にいるわけ?だって、さっきまで私、 「イギリスにいたのに……」 「いぎ、りす?」 「じゃ、じゃあいまは西暦何年ですか?」 「せいれき…?すまないそれは分からない」 「じゃあ、今は……何年、いや、何時代、いや……」 「君、少し落ち着いた方がいいぞ」 お兄さんにそう言われて、それもそうだと一度深呼吸をする。よし、落ち着いたぞ。よし。じゃあここから冷静になって、一体どうなってるのかを突き止めて行こうじゃないか。 「あの、幾つか質問したいんですけど」 「君にはお世話になったし、できる限り答えよう」 「では……都は、今、都は江戸ですか?」 「えど?いいや、都は京の、室町だ」 「むろ、まち?」 おいおいおいおい、室町だって?つまりそれって、 「室町時代……」 「それが、どうかしたのかい?」 「はは、いや、なに、」 私、イギリスから日本に飛んだだけじゃもの足りず、時代も飛んだのか。やっべ、まじ、やっべ。 「君、なんだか顔色が悪いぞ?」 「はは、はははは」 |