「それじゃあ行ってきます」と彼女はスープとトーストを残して家を出ていった。

そのスープとトーストをさっさと流し込んでキッチンに置く。
そして、絶対入るな!と言われた彼女の部屋に足を踏み入れた。

ベッドとクローゼットとテーブルと本棚。
必要最低限の物が綺麗に置かれている。

「ん?」

ふと机の上にあった本に目が行った。

そう言えば、彼女に僕は本の中の人物だと昨日言われた。
そんなこと信じてなかったけど…


「これ、イタリアくんとドイツくんと…日本くん?」


手に取った本の表紙には、イタリアくんとドイツくんと日本くんが描かれている。
中をペラペラとめくると、アメリカくんやイギリスくん、フランスくんもいるしリトアニアも出てくる。

僕は、本当に違う世界へ来てしまったみたい。

「ラトビアとかリトアニアとか、心配してるかな…」



(してないよね……)