ウェスカーさんが「仕事なんてやーめた!」と言ったあの日から数週間。
私たちは前に住んでいた、(いや、本当のところは監禁されていた)あの家でから引っ越して、そこそこ活気のある町から少し離れた所に住んでいた。

さらりと吹き渡る風が気持ちいい。
青々とした芝生の上、うーん!と両腕を名めいいっぱい伸ばして胸いっぱいに空気を吸い込む。

なかなかりっぱな白い家に広い庭。そこには綺麗な花が咲き乱れている。一角には大きな温室がありそこには、でろでろとした触手が…触手…

「ギャーーーー!!!!ウェスカーさん温室からなんか触手出てるーーーー!!!!」


温室のドアを突き破りどす黒い緑色の触手がでろでろと溢れ出して居る。
え、なんか心なしかこっち来てない?


「ちょ、ウェスカーさぁああん!何あれさっさとしまってぇええ!」


どこに居るのか分からないがあの意味の分からないものを作り出したであろうグラサン野郎の名前を呼びながら家へと非難しようとしたが、ドアの一歩手前で体がピタリと止まった。

なんだかにちょりと体にまとわりつく感触がする。
恐る恐る振り向くと、案の定うねうねにゅるにゅると触手が体にまとわりついていた。

「う、う、うぎゃぁあああああ!!!!!!」


やめてぇー!はなしてぇー!と触手を手ではがそうとしても離すどころかさらににゅるにゅるとまとわりついて来る。
最終的には私はたやすく触手に引っ張りあげられてしまった。

触手は私を神輿のごとく持ち上げ何処かへと移動して居る。
しかしそんな事よりわたしはどうなるのか。こんな触手のよくわからない物にどこに連れて行かれるのか。


パニックになりながらも抜け出そうと頑張っていると、触手の本体なのか、大きな真っ赤な花が一つ咲いているのに気づいた。
しかし、やはり普通の花ではなく、真ん中には鋭い歯が並んだ大きな口がついてる。(まるであのマ◯オに出てくるなんたらフラワーみたい)

それは私と目が合ったとたん(いや、目は無いんだけどあったきがした。)、した舐めずりをするようにこちらへよって来た。

ああ、わたしコイツに食われちゃうのかな…?

そして、口が一度大きく空いて閉まったかと思うと、その瞬間私の体は丁寧に床に降ろされていた。
ここは、家の裏じゃないか。

「は?」とわけが分からずにいると、「ああ、やっと来たか」とウェスカーさんが何やらダンボールをもってやってきた。


「は?」
「ふふふ、つい先ほどこれが届いてだな、さっそくなまえに…どうしたそんな芋虫を潰したような顔して?」
「いや、ちょっと状況が…え?」

上機嫌のウェスカーさんと未だにうにゅるうにゅると触手をくねらせる生物を交互に見ると、ウェスカーさんが、「ああ」と言った。

「そうだな、紹介が遅れたが、コイツはペットだ!」
「は?」
「植物の細胞をちょちょっといじくったらできたんだがなかなか可愛いだろう!」

この触手だらけの花のようでそうでない生物がペット?
これが?

「はっ?」
「まあ、本題はそういうことでじゃなくてだな、いま届いたナース服かセーラー服、今夜はどっちがいい?」
「個人的にはセーラーがって…話を変えるな変態野郎!」
「あべし!」

ナース、いやセーラーも捨てがたい
(まだ言うか!?)