さて、どうしたものか。

うだるような暑さの中、私は喉が乾いて仕方なかったからジュースを買いにきたのに、なぜか私の身体は彼の大きな手によって壁に縫い付けられている。
まったく、どうしてこうなったのだろうか。

しかし、そんなことはどうでも良くなるほど喉が渇いている。渇きすぎて、血がドロドロになって詰まって死んでしまうんじゃないかと思うほどだ。

とりあえず痛い!怒ったように言ってみたが、彼、斑鳩さんにはききもしない。それどころか面白がるようにニヤリと笑うだけだ。
大人の余裕、いや、警察の余裕というものかもしれない。

「斑鳩さん、あのですね、いい加減手を離して貰えませんか?」
「ん?なぜその必要が?」
「いや、必要も何も私ちょっと用があるんですよねー」
「用なら私の方にもあります」
「あ、そうですか。では後ほど…」

グッ、と斑鳩さんの手を振り払おうとするが動かない。めげずに動かすがびくとも動かない。
これが男の人の力なのか…!

「えっとー、じゃあ用ってなんですか?さっさと済ませて離してくださいよ」
「そうですね、では、用件を…」
「用件は?」
「………、白鳥、圭輔についていろいろと」
「あぁ、もうまたですか?白鳥さんの考えてる事は知らないって言ってるじゃないですかもー!」

ここ数日、数週間、斑鳩さんには幾度となくこうやって私を捕まえては白鳥圭輔が目論んでいる事を教えろと聞いてくる。
その度私は知らないと良い、その度斑鳩さんはしつこく同じ事を聞いてきて、そして命からがら逃げている。(決してオーバーではない。だって斑鳩さんの目は今にも私を射殺す様な目をしているし)

「果たして、本当に知らないのかも怪しいので」
「そうですね、じゃあ白鳥さんがお風呂に入って一番最初に洗うところでも教えましょうか?」
「…知ってるんですか?」
「え?」
「そんな事を…あなたは…知って…」

冗談で言ってみた言葉を、本気にしたのか斑鳩さんがさらに目を鋭くして問い詰めて来る。

「え、いやいや本気にしないで下さいよ冗談ですよ!!」
「冗談…、本当に冗談ですか?」
「えぇっ!もうめんどくさいなぁ…、あ!宇佐見さんが向こうから怒りながら来る!」
「そんな子供だましには…」
「斑鳩さん!!もう帰らないと会議に遅れますよ!!」
「……宇佐見…」
「うっはっは〜〜ざまぁみろ〜〜斑鳩さんざまあみろ〜〜!」
「っ!!」


宇佐見さんに気を取られている間に斑鳩さんの手を振りほどき、べーと舌を出して逃げた。
いやぁ、まったく、宇佐見さんはいいタイミングに来てくれた!!


そのおとこ、きけんなり
(く…まて!)
(斑鳩さん!!!!)
(っ〜〜〜〜!!!!)




斑鳩さんにフ○イタスとのりをあげたい今日この頃^^