ガタン、と大きな物音がバスルームのほうから聞こえた。
またあの穴が広がったのだろうか。
それともまた他に奇妙な厄介事が起きたのだろうか。

ため息をついて、バスルームに向かう。
全く、災難だ。いや、災難どころではない。
部屋から出れなくなったかとおもえば、バスルームに穴は開くわ、脱出できるかと思えば意味のわからない世界に飛ばされ、化け物に襲われるわ、人が死ぬわ、私が何をしたと言うのだろうか。


バスルームのドアを開けようとドアノブに手をかける。
その時、中からごそごそと言う音と、声が聞こえてきた。
もしかしたら、鉄パイプを持ってきた方が良かっただろうか。そう思ったが、時すでに遅し、と言うやつだ、私がドアを開ける前に勝手にバスルームのドアが開いた。


* * *


ありえない。本当にありえない。
普通、外で道を歩いていていきなり穴に落ちるなんて事があるだろうか。
そして落ちた先が見知らぬバスルームって事があり得るだろうか。
いや、あり得ない。絶対にあり得ない。
百歩譲って下水道だろう。


「ありえない、ほんとありえない…あぁ、腰打った!痛い!」

ずきずきと痛む腰を押さえて立ち上がる。
回りを見渡せば本当にただのバスルームだ。バスがあり、トイレがある。あとトイレットペーパーも。
本当に、本当に壁に大きな穴が空いている以外はただのバスルームだ。


「さすがにあの穴に入ろうとは思わないなぁ」

と言うことは、行くべき先はただひとつ。
あそこに普通に着いている、普通のドアだ。
私は、このドアをあけたらまた変な所とかそんなこと有りませんように!と願いながら、ドアを開けた。

ドアを開けたら摩訶不思議〜と言うわけではなかったけど、開けたら目の前に男の人がいたので私はびっくりして「うおっ」と言ってしまった。男の人もポカン、としている。

そりゃそうだろう。
バスルームの扉を開けようとしたらいきなり空いて、しかも知らないやつが出てくるなんて。誰だって驚くし、ポカンともする。

それから、普通の人だったら、いきなり出てきた知らないやつを泥棒と認識する。はずだ。少なくとも私ならそうだ。

しかし、目の前の男の人は、私を見て「ゴーストか?」と言った。
いやいやちょっとまてお兄さん。
違うでしょ!


「いやいやいや、違うでしょ!そんなボケは今言うべきじゃないでしょ?普通は『君、泥棒か!?』でしょ!」
「じゃあ泥棒か?」
「いやいや、それも違うんですけど!なんかお兄さんの発言にちょっと突っ込みたくなっただけなんですけど!あれ?なんで私こんなにツッコミに一生懸命なの?て言うか、セリフ多くね?つか多くね!?」

おおおお!と一人でまくし立てるように喋っていると、クスクスとお兄さんの笑い声が聞こえた。
あら、可愛い…

「って違うううう!お兄さん間違ってるううう!笑うとこじゃないよ!もっと警戒すべきだよ!」
「だって君は泥棒では無いんだろ?」
「いや、そうだけど…、そうですけど!でもそんな易々と信用しちゃっていいの!?」
「いいんだよ、だって今の私の部屋には泥棒なんて入れる常態じゃないんだから」
「は…?」

「来てごらん」と言われ、お兄さんに着いていく。「ほら」と見せられたのは、鎖やら南京錠やらでガッチリ内側から閉められたドアだった。


「ひ、一人、SM?」
「まさか」
「ですよねー」
「何をやっても鎖は外れないし、何をしても私はこの部屋から出れない。それから外からも入れないし連絡さえも取れない。だから、泥棒なんて入れないんだよ」

まいったよね、と困ったように笑うお兄さんに、私もそうですね、と笑うしかなかった。

Welcome silenthill!
(おいでませ静岡!)





今、私の中でサイレントヒルが熱い!←
ヘンリーとジェームスが好きです^^とっても!
でもつ、づかない、よ!たぶん…