白鳥さんが好きだと気づいたのはつい最近のこと。
今まで普通に話していたのに、それに気づいた途端、今までの様には話せなくなってしまった。


そんな私は、只今、危機的状態である。


どうもモヤモヤするし、暇なので、田口先生になにか話でも聞いてもらおうかな、と愚痴外来に来たのに、そこには田口先生じゃなくて、白鳥さんが。

私の心臓はそりゃもう一瞬で固まり、このままじゃ駄目だ!気づかれないように帰ろう!とくるりと180度回る。が、私に気づいてしまった白鳥さんに「いらっしゃーい」と手を捕まれ部屋に引きずりこまれてしまった。

噂をすればなんとやら…いや、違うか。でもそんなこたぁどうでもいい。
この、白鳥さんと二人きりでお茶をするはめになって嬉しいような辛い状況を誰かどうにかして!


ほんとうに、しまった、気づくんじゃなかった…、と思う。そのたびにため息がでる。
気付かなければ白鳥さんを見るたびにこんなにギクシャクしなくてもよかったのに。

また、思わず「はぁ」とため息をつくと、「なに?僕と一緒がそんなに嫌?」と白鳥さんが言う。

「あ、いや、そう言うことじゃないんですけど」
「じゃあどうしたの?さっきからため息ばっかりついちゃって」
「いや、ちょっと悩み事が…、あ」


思わず口を滑らしてしまった。
しまった!と思いながら、恐る恐る白鳥さんの顔を見てみれば、良いものを聞いたと言う風にニヤニヤとしていた。
私の馬鹿。


「なに?なになになになに?僕に言ってごらん、すーぐ解決してあげるよー」
「いや、良いです」
「そんな事を言わずにー」


にやにやと笑いながら私の頭をわしゃわしゃと撫でまわす。
あぁ、止めてください死にそうです。

「なになに?恋の悩みとかー?」
「うっ…」
「え?当たったわけ?」
「……違いますよ」
「……、ふーんそうなんだーなまえちゃんが恋ねぇー」

「だから違いますって!」そう言ってみても、白鳥さんは「いいやそうだね!」と言い切った。頭の良い人は人の心も読めるのか。恐ろしい…。

「よおーし!僕がアドバイスしてあげよう!まず、なまえちゃんの思い人はどんな人なわけ?」

らんらんと目を光らせ迫ってくる白鳥さんには逆らえない気がして、つい口が動いてしまう。


「………、賢いです」
「ふぅん、でも僕ほどじゃないよね」
「野菜が嫌いです」
「それは分かるかな」
「話してると不愉快になります。うざくてしつこいです」
「うっわ、やだねそう言う男!止めといたほうがいいよ!て言うかほんとにその男が好きなの?」
「はい、好きですよ」
「あー。止めときなよ、それより僕にしといたほうが良いって絶対!」
「……あー、あとやっぱり馬鹿ですね」
「じゃあ尚更僕のほうが良いって」


「やめときなよー」と言う白鳥さん。
なんと言う馬鹿。いや、はっきり言わない私が悪いのか。いやいや、でも私、すっごいチキンだし…。
ごちゃごちゃと考えを巡らせていると、「はぁー」と言うため息が白鳥さんから聞こえてきた。

「なまえちゃんてほんと、馬鹿だよねぇ」
「…はっ?」
「僕が言ってる事、理解できる?それとも遠回しすぎた?」
「いや、意味がわからな…」
「あぁもう!そんなんだから速水に良いようにされちゃうんだからね!僕はさっき何て言った?」
「私は馬鹿だって…」
「ちがうよ!ちがう!その前!」
「へ?」


ばんばんばん!と白鳥さんがもどかしそうに机を叩くが、申し訳無いことに私には何の事かさっぱり分からない。
うーんうーんと唸っていると、またため息が聞こえた。

「あーもう、単刀直入に言っちゃうけどさぁ、なまえちゃんは僕の事が好きなんでしょ!?」
「えっ!あ…やっぱばれて…!?」
「言っとくけど前から知ってたからね!にしてもうざいとか不愉快とかしつこいとか、本当に失礼だよねぇ」
「えぇっ!なんでバレて…」
「だってなまえちゃん分かりやすいしー。で、僕はなまえちゃんに言ったわけよ「僕にすれば?」って。まぁ、なまえちゃんば僕が思った以上に"馬鹿"みたいだから…」
「ちょ、馬鹿を強調しないでくださいよ!」

「で、結局は何が言いたいんですか?」と聞けば、机越しに乗り出した白鳥さんにちゅっとキスをされた。
離れた唇、目の前にあるニヤリと笑った白鳥さんの顔、


「つまり、好きってコト」
「……ーっ!」


(うーん、まだ分かってない?もう一回しとく?)
(わわわわ、分かりましたから!流石に!)







白鳥さんはいつもニヤニヤしながらよろこんでるといいよ!!

リクエストありがとうございました!