落乱×魔法 其弍

「はい、多分これで動いても大丈夫です」
「あ、ありがとう」

杖を振って、癒しの魔法でお兄さんのを治す。完璧ではないけども、ここまですれば問題ないだろう。不思議そうに、さっきまで酷い切り傷のあった腕を見つめるお兄さん。私は今まで疑問に思っていた事を聞くことにした。

「あの、そう言えばここって何処なんですか?」
「ここは、カエンタケ城の領地だ」
「カエンタケ城の領地?えーと、カエンタケ、の前にズバリここは日本でしょうか!?」
「まあ、そうだけど……」

そう訝しげな顔をして答えるお兄さん。私はあーっと頭を抑えた。
日本、か。何で私日本にいるわけ?だって、さっきまで私、

「イギリスにいたのに……」
「いぎ、りす?」
「じゃ、じゃあいまは西暦何年ですか?」
「せいれき…?すまないそれは分からない」
「じゃあ、今は……何年、いや、何時代、いや……」
「君、少し落ち着いた方がいいぞ」

お兄さんにそう言われて、それもそうだと一度深呼吸をする。よし、落ち着いたぞ。よし。じゃあここから冷静になって、一体どうなってるのかを突き止めて行こうじゃないか。

「あの、幾つか質問したいんですけど」
「君にはお世話になったし、できる限り答えよう」
「では……都は、今、都は江戸ですか?」
「えど?いいや、都は京の、室町だ」
「むろ、まち?」

おいおいおいおい、室町だって?つまりそれって、

「室町時代……」
「それが、どうかしたのかい?」
「はは、いや、なに、」

私、イギリスから日本に飛んだだけじゃもの足りず、時代も飛んだのか。やっべ、まじ、やっべ。

「君、なんだか顔色が悪いぞ?」
「はは、はははは」


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こりもせずに第2話
カエンタケ城とか勝手に作りました
なかなかえげつない毒キノコらしいっす。カエンタケ