やられた。
「うしししっ、マーモンチビに逆戻り!」
「ほんとに赤ん坊じゃないですかー、…ぷぷ。」
「…君たち後で絶対殺す。」
まさかフランがヴェルデから一時的に赤ん坊に戻るふざけた機械を貰ってくるとは思わなかった。その情報がベルにも共有し僕は今忌まわしき赤ん坊の姿に逆戻りした。…せっかく呪いを解いたのにどうしてくれる。一時的なやつじゃなかったらヴェルデもろとも殺してやろうかと思ったよ。
「…む、なんだか懐かしいよ、嫌な意味でね。」
「ちびですねー、うりゃー。」
「や、やめろ、ぉお!」
足を掴んで振り回す後輩に文句をかけ抵抗したいが身体が小さくて出来ない。め、めがまわる。
「ただいまー。」
ぐるぐると酔い始めたときフランがあ、と声を漏らし僕の足を離した。簡単に飛ばされる僕の体。目が回るせいで反応出来ず壁にぶち当たるのを待ったが訪れたのはふわっとした感触といい匂い。
「…あれ、マモちゃ、あれ?」
どうやら僕はなまえに抱きとめてもらったようだ。なんなの、ちょうど良すぎやしないかい。イケメンかよ、可愛いんだよ、くそ。
「しし、すごくね? マーモン赤ん坊に戻ったの。」
「不本意だよ、僕が望んでそうしたみたいに言わないでほしいね…。」
「…。」
もぞりとなまえの腕の中で動き体勢を整え見上げると目を見開き黙りっぱなしのなまえ。どうしたの、と首を傾げると急に抱きしめる腕の力が強まった。
「むぎゃ。」
「っきゃあぁあ、マモちゃんかわいい!! 赤ちゃんのマモちゃん久しぶりじゃない?! かあいい!!」
「なまえセンパイ、犯罪臭ぱないですー。」
「マモちゃんが可愛いのが悪い! おっきくなったらかっこよくて綺麗で可愛いけど小さくても可愛いねマモちゃん!!」
むぎゅむぎゅと抱きしめられながら頬ずりをされる。苦しい、けど悪くないななんてこっそり。にやにやしてるベルとフランは後で絶対しめよう。ひとしきり堪能したのかなまえは少し手を緩めた。
「マモちゃん身体小さいとお風呂とか大変じゃない? えへへ、今日一緒に入ろー!」
「!! …そ、そうだね、小さいと洗うのが大変なんだ。」
「絶対嘘だし。アイツ十年前平気で一人で風呂入ってたじゃん。」
「なまえセンパイ、マーモンさんと入るならミーとも入りましょー、…マーモンさん殺気が痛いですー。」
…今だけ小さくした君たちに感謝するよ。今だけね。