「急にキスとかされるときゅんきゅんするんだって、同期の子たちが言ってたんだ。」
黒のブーツを履きながらなまえはそういえばと告げた。今朝のことだった。僕は午後からだったし朝早く起きる必要はなかったんだけど彼女の見送りに起きてて、その時聞いたんだよね。あの時は適当にそうなんだ、とだけ返した気がする。
「油断して手こずったりしたら許さないからね」
「はいはーい、気をつけまーす! じゃあいってくるね!」
にこっと笑った可愛い顔を見送り少し早めの朝ごはんを済ませようと移動した。その後は適当に時間を潰して、任務の時間になったから同行するベルと一緒に出た。報酬が入るからいいけどめんどうだ、何せベルと一緒だから余計。
「しし、なーに浮かない顔してんの。ベイビー。」
「もう赤ん坊じゃないんだけど。…別に、気のせいじゃないかい。」
「ま、どーせなまえの事だろ。わっかりやすー。」
「…殺すよ、ベル。」
「ししし、やってみ。」
…同行するのがベルじゃなくてなまえならどれほどよかったか!
任務から帰り部屋に戻るとベッドになまえが寝転がっていた。起きてるのかと思い近寄るとぴくりとも動かない。小さな寝息が聞こえ寝ていると分かった。早朝なのもあったしきっと疲れてしまったのだろう。
「…なまえ。」
「……。」
「…今日もお疲れ様、大好きだよ。」
起こさないよう声を潜ませ、彼女の唇にちゅっと一度口付ける。何だか満足しちゃっていつもは後回しにしていた報告書を片付けるため彼女に背を向け机に向かった。早く終わらせて起きた時いっぱい甘やかさなきゃね、寝顔にでもいいけど起きたなまえにキスしたいし。頑張ろうとするかな。
「……っ。(きき、急にキス、するのはずるいよマモちゃん…!!)」