※夢主の性格が結構イタイ
※某映画リスペクト
※学パロ


小さな時からいろんな人に「可愛い」と褒められてきた。自分でも可愛いとおもってるし周りの女の子なんて自分より下に思ってた。だって、わたし可愛いもん。この学校でいちばん制服が似合ってると思うしわたしがいちばん可愛い。

「男に媚び売ってんじゃねえよ。」

「このビッチが。」

だからこうして大人数で責められるなんて少女漫画チックなことが起きても。

「ごめんなさい、わたしあなたたちと違って可愛いんで。」

最大の嫌味でもあり事実を可愛らしい笑みで告げれるのだ。
仕方ないじゃない、だってわたし可愛いんだもん。すれ違う男はみんな振り向くし、微笑めば好意を持ってくれるし、影でなまえさんって可愛いよねなんて言われるし。

それなのに、それなのに。

「うわー、堕王子をそのまま女にしたみたいですー。」

悔しそうなモブどもがいなくなったあとにそいつはやってきた。どうやら会話を聞かれたみたい。…男の子に聞かれるのはアレだったけど、自分が可愛いのは間違ってないし。いつもの笑顔で彼に目を向けた。

「なんのこと?」

「惚けやがった、アンタすごい性格悪いですねー。」

にんまりと笑うフランは今までの男の子とは違った。わたしのことを、褒めない。なんで、なんで。

「確かにアンタは可愛いですよー。」

「…。」

「でもミーはアンタが今まで会ってきた男とは違うんでー、そう簡単にはいきません。」

「…は。」

「残念でしたねー、性格ブス女。」

くしゃり、頭を撫でられる。罵倒してるくせに表情が優しくて、こんなの初めてで、色々と整理がつかなくて。「また明日会いましょー。」と片手を振ってフランが背を向けた。そのときわたしは何故かとっても焦ってしまって、その背を追いかけ腕を掴んだ。

「っ、わたしの事、好きになってよ。」

初めてだった。無意識だった。男の子にこんなに縋るなんて今までしなかったから。腕を掴むわたしを見下ろしてフランは一度目を見開いて、そうしてすぐに微笑んだ。

「それはどうでしょうねー?」

わたしの手は彼によって離されきゅっと絡めとられる。所謂恋人繋ぎ、で。たったそれだけ、初めてなんかじゃなかったのにひどくどきどきした。嬉しくて、恥ずかしくて、苦しい。
これが、恋、なのだろうか。


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