眠たい頭を無理やり起こし、今日の任務内容を思い出しながら廊下を歩いていた。きちんと髪は整えてあるし隊服だって(どうせこの後汚れるけど)綺麗だ。私はヴァリアー雲の幹部。

同期のベルに恋している暗殺者。

「なまえじゃん、おはよー」

「...!ベル、おはよう」

朝食のいい匂いが漂う部屋で、ベルに挨拶された。やばい、たった“おはよう”の一言にどきどきしてる。なんとか笑って挨拶を返した、が、ぎこちない笑みになっていないだろうか。あっ、もっと話した方がいいかな...?

「ベル、今日の任務の事なんだけどさ。ちょっといいかい?」

「ししっ、マーモン確か任務一緒だっけ。いいぜ、聞くよ」

私が脳内で色々考えてる間にベルはマーモンと話し始めた。...せっかくこっち向いてくれたのに、残念だなあ。なんだか寂しい気持ちのまま席についた。
今日はふわふわオムレツだ!

■ ■ ■

難なく任務も終わり、報告書もボスに提出したしあとはシャワーを浴びて寝るだけ。今が冬だからなのかなんだかホットチョコレートが飲みたくなって談話室に向かった。

「あ、...ベル」

「んー、今終わったの?お疲れー」

ソファーに寝っころがり、此方を向いて笑いながらひらひらとベルは手を振った。よく見るとテーブルの上には書きかけの報告書と転がったペンがあった。

「報告書書き途中じゃん、書かないの?」

「王子眠くなっちゃったからちょっと休憩してたの、あとでさらっと書くつもり」

「ふーん....、...あ、ベルもホットチョコレート飲む?」

「飲む」

吃驚するほど即答。...書くつもり、っていってもさぼりそうだなぁ...。二人分のマグを持ち、中にホットチョコレートの粉とお湯を入れ、軽くかき混ぜる。両手に持ち、一つをテーブルに置いた。私が近くに来ると、寝っころがっていたベルは体勢を直しきちんと座った。
そして自分の隣をぽんぽんと叩いた。

「お前はここに座れよ」

きゅん、て来たのは気の所為じゃない。私が初心な女の子だったら顔真っ赤にさせていたかもしれない。にやけそうになるのを抑えて、一度頷き隣に腰掛けた。

さらさら。

ベルがペンを走らせている音だけが響く。時折マグに口をつけ飲んだりして、ベルは報告書を書き終わらせた。

「ししっ、おしまーい!」
「これボスんとこに出してくんね」

「はーい。じゃーこれ片付けて私は寝るねー?」

空になった自分のとベルのを持ち、そう言うとベルはにまりと笑った。

「今日は王子と寝てよ、だからさ、待ってて」

「...っっ!」

「わ、顔真っ赤!なまえかーわいー」
「んじゃ俺が帰ってくるまで待ってろよ、姫」

ぱたむ、と扉が閉まった。危うくマグを落としそうだった。
....勇気を出して告白、してみようかな!

(ししっ、うまく誘えたし、王子頑張って告白してみようかな。)

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