すとぉかぁ | ナノ


▼ 君の近くに


今日はなまえちゃんがいなかった。いつも乗ってる車両にも、昼によくよってるカフェテリアにも、どこにも。どうしたのかな、風邪でも引いちゃった? なまえちゃんがいないなんてすごくつまらなくて、いらいらして、頭からなまえちゃんが離れなくて、心が痛い。一瞬たりともなまえちゃんのことが頭から離れることは無かった。あまりにも考え込んじゃって正ちゃんが僕を呼ぶのにも気付かなかったくらい。

あ、そうだ。なまえちゃんの家、行こう。















ぐしゃぐしゃ。どれだけ捨てても来る手紙。手紙。贈り物。
気持ち悪い。夜中のチャイムも減らないし、一人でいると誰かにつけられてる感じも相変わらず。いろんな負担があったおかげで風邪をこじらせてしまった。だるい、つらい。
ふと喉が渇いて台所まで行くと、ぴんぽんとインターホンが。もしかしてストーカーでは。恐る恐る扉を開けると、コンビニ袋を下げた白蘭くんがいた。

「白蘭くん…!」

「こんにちはなまえちゃん、今日いなかったから心配したんだよ。」

今日の分のノートあげる、と白蘭くんは微笑んだ。下げていた袋からポカリを取り出しあとこれも、とくれた。

「ごめんね白蘭くん、わざわざこんなに…。」

「全然大丈夫だよ、…ほら、病人は寝てなきゃね。」

背を押されてベッドへ戻る。布団を被り見上げるとにこにことした白蘭くん。誰かがいると寝づらいと思うのに次第にうとうととしてきて、重くなった瞼を閉じた。

「起きたとき食べれるように軽くご飯つくっとくね、台所借りるよ。終わったら帰るからさ。」

そっと白蘭くんに頭を撫でられた。すごく落ち着く、はずなのにどこか心がざわついた。






















なまえちゃんの寝顔の可愛さ。パラレルワールドでどんな顔も見たことあるけどやっぱり生で見ると違うよね。風邪のせいで頬は赤いし瞳は潤んでるし、可愛すぎて今すぐ犯したくなっちゃうくらいだよ。我慢我慢。そっと撫でたなまえちゃんの髪はさらさらで額は少し汗ばんでたけどそれすらも愛しくて、眠ってしまったあと撫でていた手を嗅いでしまったくらい。なまえちゃんってば可愛いな、かわいいかわいいかわいい。

台所まで向かう途中破られた紙がたくさんごみ箱に入っていた。切れ端を数枚取り出すとそれは見たことがあるものだった。

「…あは、せっかく僕が出した手紙なのに、びりびりに破いちゃうなんて悪い子だなぁ。」

他にも僕があげたいろんなものが袋に纏められた端っこにおいてあった。なまえちゃんってば本当に悪い子だ。

毎晩インターホン押したりしてるよ、帰り道もわざと足音を鳴らして後を追ったりもしてる。ねえ、なまえちゃん。そろそろ限界じゃないのかな? なまえちゃんを悩ませているそれら全部僕の仕業だと分かったら、なまえちゃんどんな顔するかな? あはは、楽しみだな。



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