すとぉかぁ | ナノ


▼ 君を追いかける

僕は彼女の名前を知っているけど話したことは片手で数えるほどしかない。しかも大体が業務的な会話だ。たとえば、「今日課題の提出日でした?」とか「ノート見せてくれませんか」とか。どうして知っているか、それは僕が彼女に一目惚れしたあの日からずっと他の世界のなまえちゃんを見たから。家も知ってるし中華料理店で働いてるのも帰りが遅いのも知ってる。

いつもはその世界でできた恋人とかここまで調べないよ。やっぱりなまえちゃんだからかな、コイはモウモクって言葉もあるくらいだし。

「白蘭さん、教授が呼んでましたよ」

「えー、めんどくさいなぁ」











夜中にインターホンが鳴るようになった。決まって夜中の2時、時間も時間だしとてつもなく不気味だ。一度チェーンをかけながらドアを開けたことがあるがインターホンを押した人の姿が見えない。誰もいない、というかそそくさと逃げたみたいだった。ああ本当に気持ちの悪い。

おかげで最近寝付けなくて講義中眠くなってしまう。

「眠そうだね、大丈夫?」

「...ぁ、えっと、びゃくらん、くん?」
「そうなの、最近寝付けなくて...」

片目を擦るわたしを心配そうに見る白蘭くん。5ヶ月前から少しずつ(話したことは数回しかないから本当に少しだが)話している人だ。海外からきたのか珍しい名前と髪色をしている綺麗な人だ。おまけに人柄も良くて教授にも生徒にも人気だ。

「そっか、僕がノートとっとくから10分くらい寝てなよ。ここ結構はじっこだしバレないさ」

ああ、白蘭くん優しい。


[ モドル ]



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