持論と憧れと


白、確か原作通りだとこの人は女顔なんだけど男の子で、母が血継限界の雪使いの一族だったはず。でもすべてが原作通りってことでもないと思うから、その辺は考えかなきゃなー。てか今更だけどやっぱりナルトと一緒にタズナさんも連れていけばよかったかな…。ここにいても危ないし…でも向こうに増援とかいっぱい敵がいたらそれはそれで困るし…。一番嫌なのはナルトの様子を見て隠れていて、ナルトがいなくなった瞬間にタズナさんを殺す…とか。ナルトが気づかないはずはないと思うんだけどね、九喇嘛もいるし。だけどもタイミングよく遅れてやってきたとか一番嫌な方法だからやっぱり私たちの目があるここの方が安全…否私の考えすぎ?(この間約0.7秒)てかごちゃごちゃ考えるの後にしよう。今は目の前の敵に集中。

「ねえ、白さん、貴方女の子だったりイケメンだったりするかな?」
「性別に関しては違いますよ。声を聞けばすぐ分かると思います。外見は人の価値観それぞれですので何とも言えませんね。」
「そう、じゃあ…」
私はそう言って瞬身の術で白の目の前に行き、拳に力を込める。

「歯ぁ食いしばれってばね」
相手が何か言う前に私は白の仮面めがけて思いっきり殴った。バリ――――ンと言う音と共にそれが仮面だったのか分からないほど割れた仮面は、地面に落ちていく。そして勢いが良過ぎたのか白の頬が赤くなっていた。

「あっちゃー。イケメンではないけど、美少年じゃん。ゴメン」
私は仮面が無くなった白の顔をまじまじと見た。頬が赤く腫れているが、まつ毛は長く、顔立ちの整っている少年だった。まあ原作通り女顔だったね、一応殴る前に聞いたからいっか。

「何の質問だと思えば、こういうことですか…。いきなり殴られるのは驚きました」
苦笑しながら頬の傷をさする白。どうやら口の中を切ってないところを見ると、本当に歯を食いしばったようだ。よかったー、歯は大切だからね。

「あはは、ゴメン。蛇足としては人と話す時は顔を見せようよ?まあ、私の班の上忍も顔見せてないけど」
私は困ったように笑うとちらっとカカシ先生の方を見た。今更だけど、カカシ先生が顔を隠しているのって何でだろう?まぁ、人にはそれぞれ事情があると思うから聞こうとまではしないけど。
さーてと…顔も明らかになったことだし、そろそろ真面目にならないと。

「で、2対1でごめんね。こちとら下忍だし。まあ、そこは我慢してちょーだいな」
私がそう言うと白が私に意識を向けている中、サスケが白の首の後ろに飛び蹴りをする。しかし、白は体を横にずらした。やっぱそう簡単にはいかないねー。

「僕の背後はそんな簡単に取れるものではないですよ。確かに公平ではないですが、大丈夫です。」
白はそう言うと走り出した。…なるほどね。

「ッチ、逃げる気か!?」
サスケは舌打ちをして白の後を追おうとする。ダメだ、それじゃあ相手の思うつぼ…。私は走り出そうとするサスケの腕をとっさに掴んだ。

「待って!追ったらダメ。」
「どうしてだ!?逃げるかもしれないんだぞ!?」
サスケは振り返り、私の手を振り払う。

「…アイツの走り出した方向、カカシ先生と再不斬が戦っている場所だよ。」
「何?」
サスケは霧の中に入っていった白を見る。原作だと、白は再不斬の水分身を破壊された、その水で塗れた地面の水を使いながら血継限界である氷遁を使った。これは単なる私の考えだけど、白は再不斬が使った水分身の水を使い氷遁を使おうとしている。もし追ってしまったら、再不斬もいるし白は氷遁使うしでやっかいになる。でも使うのも時間の問題…サスケはサスケなりに考え納得した様子だから、説明は必要ない。じゃあ、どうするか。向こうにある霧と水をなくす!!

「風遁 舞風かーらーの、雷遁 雷落」
舞風で霧が吹き飛んだあと、再不斬とカカシ先生付近のところにある水たまり全てに雷を落とす。もちろん、再不斬の水分身にも。本来これは人に落とす。1V〜数千万の電圧の調整ができる。人間が死ぬ電圧はおおよそ42Vであるに対し数千からだとチリとなり、暗殺にもってこいだったのである。まあ、数千万もの電圧にしたらチャクラが一気に無くなってうずまき一族の血を引いている私でも死ぬけど。

「サスケ、水たまりに向かって火遁の術何かして!」
私がそう言うとサスケは戸惑いつつも豪火球の術をした。カカシ先生にも聞こえていたようで、二人は水たまり全てに豪火球の術をした。これで水たまりが蒸発して水は無くなった。しかも地味に残っている水には約35Vの電圧がある。人間が触れれば、動けなくなる電圧。白にもそれが分かったようで私を渋い顔で見ている。

「これで水は使えないよ。貴方が水で何をしようとしたのかは分からないけど、水遁をすれば私が雷遁で水に電圧を加え、そしてカカシ先生とサスケが火遁で蒸発させる。なんだったら、私の風遁で風圧の高い術で水を切ってもいい。」
…多分だけどこれで氷遁は使えないはず。直に氷遁できるのならばこれをした意味はないけど。

「ククク…白、こりゃ一本取られたな……」
「そうですね…流石は緋蛾ということでしょうか。再不斬さんのところに行って水分身の水を使おうと思いここへ来たのですが…。」
「ああ…氷遁はダメみたいだな…チャクラの無駄遣いだ。」
嘲笑する再不斬の表情はどこか余裕そうだった。

SIDEナルト
姉ちゃんがタズナさんの家の裏の木にマーキングをつけた場所に、オレは飛雷神の術で来ていた。オレはとりあえず、家の中を見た。すると机がバラバラになっていて間違いなく荒らされた跡があり、家の中にはいるはずのツナミさんとイナリがいなかった。遅かったか…!!オレはタズナさんの家を飛び出して、一本道に続いている道を走った。この先は港だったはずだってばよ…きっとツナミさんとイナリを人質にしてるはずだってばよ!!そして角を左に曲がったところで、イナリが帽子をかぶった男と刺青をいれている男に刀を振り下ろされていた。オレは瞬身の術でイナリを抱き上げ、そしてツナミさんの所に行った。
「あ!?なんだテメェは!?」
オレを睨みながら刺青の男は近づいてきた。オレはクナイを取りだし、ツナミさんの手の網を切ると刺青の男に足を引っ掛け、転んだ隙に首の後ろを手ではらった。

「クソガキがあああ!!」
帽子の男もオレに刀を振り下ろす。オレは螺旋丸で刀を割り、そして戸惑っている間に男の横場を思いっきり蹴っ飛ばし、同じく首の後ろを手で払い二人とも気絶させた。

「ケガはねぇか?」
オレが笑って聞くとイナリは驚いた様子だった。ツナミさんはどうやらイナリが斬られそうになった時気絶していたようで、今は地面に寝ている。そりゃ親としては心配だし、失神するってばよ…。

「な、何でここが分かったの…?」
イナリが不思議そうにオレを見る。オレはイナリの背に合わせてしゃがんだ。姉ちゃんに教えられた一つだ。人と話す時は目を見て話せと。

「タズナさんが橋作ってる所にガトーの手下が現れてな。そこでイナリやツナミさんが人質として襲われてないか心配になってタズナさんの家へ行ったんだけど、誰もいなくて家が荒らされてたから探してたんだってばよ。じゃあイナリが刀振り下ろされてるし、ツナミさんは気絶してたし…」
オレはなるべく聞き取りやすいように優しくゆっくり言った。イナリはオレの目と口調を見て少し安心した様子を見せたかと思うと、その場でボロボロと泣き出した。

「え!?ど、どうしたんだってばよ!?」
いきなりの展開にオレは驚いた。ええええ!?刀振り下ろされてるって言い方まずかった!?それとも気絶という言葉の意味が分からないのか!?ヤバい、そうだとしたらオレもよく分からないってばよぉ!!うう…よく考えたら迷子とかそんな子供が泣いているとき慰めているのいつも姉ちゃんだったな……オレってば姉ちゃんにいつも迷惑かけてばっかだってばよ…

「だ、だって…僕…母ちゃんを守れ、なかった……それに…ナルト、兄、ちゃんたちに、ひどい、こと言、ったのに……何で、助けて、くれたの?」
ぐすぐすと泣きながら言うイナリに、ナルトはイナリの頭に手を置いて言った。

「けど、助けようとしたんだろ?刀を持った相手に、母ちゃんを助けるために突っ込んでいったのは無防備とも言えるけど、勇気のいることだってばよ。お前には勇気があるってばよ!守れなかったなら、守れるように努力すればいいってばよ。例えば明日からタズナさんの橋作りのお手伝いをして筋肉をつけるとか。色々自分の頭で考えるんだ。大切な人を守るにはどうすればいいのか。何で助けたのかは、それはお前の勇気ある行動にオレが何にもしないで、突っ立てると思うのか?」
そう言うとナルトはニカっと笑った。イナリはナルトの表情を見てニカっと笑い

「思わない!!」
と言った。
そしてイナリは思った。
自分には勇気があるんだと。助けてくれた、自分の中では二番目の|英雄《ヒーロー》がそう言ってくれた。いつかナルト兄ちゃんみたいなカッコイイ|英雄《ヒーロー》になりたいな!じいちゃんの橋作りのお手伝いもして、筋肉ムキムキになって、母ちゃんとじいちゃんと、父ちゃんみたいに波の国の人を守れるようになりたい!!
少年がこのことを実行するのは明日からで、この夢を叶えるのはまだ少し時間がかかる出来事である。

16/20

<前の話 次の話>

HOME
template by crocus
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -