しゃーんなろー!



夕焼けが綺麗に染まっていて、森林からはカラスの群れが出て行く頃セツナらは木登りをいまだにしていた。

サクラは木の頂上にあともう少しというところ、サスケは最初よりは2m進んでおり、ナルトは10sの重りをつけてサスケと同じところ、セツナは7sで頂上にいたところだった。

「ふぅー…7sでここにくるまで大体2時間かかったなぁ…(やっぱりまだ体には早かったかな?結構足がヤバい…)」
10sは無理だとセツナは判断し、重りを外して頂上から地面へと飛び降りた。
おお!足がかなり軽い!!とセツナは感動しているとナルトが飛び降りてきた。しかも重りをつけたままだったので着地する時に地面が揺れた。その反動があったのだろう、しばらくナルトは足をさすりながら震えていた

「…ナルト、大丈夫?」
セツナは表情に焦りを見せながらナルトに聞いた

「お…おう…これくらいどうってこと…ないってばよ…」
と苦しそうな顔でGJとした。うん、大丈夫じゃないんだね。

「もうそろそろ帰ろうか、ツナミさんのお手伝いもしたいし…」
私はナルトに手を貸しながら聞いてみる。ナルトは私の手を握りながら「おう、そうだな…この人数の分の料理するのはちょっと大変だってばよ」と同感してくれた。

「え…セツナたちもう戻るの?」
サクラは私とナルトが立ち上がったのを見て驚きながら聞いた。サスケも登るのを止めてこちらを見ている。

「うん、さすがに大人数でおしかけといて何もしないのはちょっとね…」
私としては気が引けるから…と付け足し、えへへと困った表情で笑う。それを聞いたサクラは、はっとして言った

「そ…そうよね!確かにそうよね…!依頼人の家にまでお邪魔するだなんて女としては色々気にするわよね…!あたしも戻るわ!!料理はできないけど、洗濯たたむとか掃除とか買い物ぐらいならできるし…!それにあたしもう疲れたし…(確かにそうだけども、いいとこ持っていかせないわよ!しゃーんなろぉ!!)」
サクラは持っていたクナイをホルダーに直し、こちらへ来た。

「ねー、サスケはどうすんの?修行してるならしててもいいけど、あんまりツナミさんに迷惑かけないような時間帯に帰ってきてねー」
と一応声をかけてみる。多分負けず嫌いだし練習すると私は思ったからだ。完全にナルトのことライバル意識持ってるし

「…いや、オレも帰る…」
サスケはそう言うと、サクラと同じくクナイをホルダーに直してこちらに来た。…てかさらっと二人ともクナイ直したけどそれってカカシ先生のんじゃなかったけ?つーかサスケが帰るとは以外すぎた…もしかしてあれか?一人は寂しいとかそんな可愛い一面持ってるのか?ええ?ツンデレのデレの部分なのか!?(いい加減にしろ!

心の中で自分に突っ込みながらもセツナはそんなことを考えていた。サスケファンなら得だよね。

ちなみにカカシはと言うと既にタズナさんの家に戻り、今は指立てをしている

「姉ちゃん、歩いて帰るのか飛雷神の術で飛ぶかどっちにするってばよ?」
「修行で皆も疲れてると思うから、飛雷神で行こうか」
私はナルトの話をサクラとサスケの様子を見ながら判断した。サクラは文字通りヘトヘトでサスケも疲れていないように見せているが、足取りからして疲れてるのは分かった。
ったく本当にツンデレだなぁ…←

「じゃあ皆オレに掴まってくれってばよ」
ちなみにマーキングはタズナさん家の付近の木にしてあるよ。まぁ依頼が終わったら消すけどね。
私はナルトの肩を掴むと、サクラもサスケも意味が分からないと言う顔をしながらもナルトの肩を掴む。
ナルトは皆が自分を掴んでいることを確認すると、すばやく印を組んだ。

そして気が付くとタズナさんの家付近にいた。
おー、印を結ぶのも早くなったし、スピーディーに的確にできるようになったねー!

「え、アレ!?ここってタズナさんの家の裏!?」
サクラはナルトの肩を離すと周りをきょろきょろと見てタズナさんの家を凝視した。
サスケもタズナさんの家を凝視したかと思えば、思いっきりナルトを見ていた。
あちゃー、ライバルにこんなすごい術されたらそりゃ色々と思うよねー。

「うん、そうだよー。ほら、突っ立てないでさっさと入って手伝う!ナルトもサスケも!」
私は皆の方を向いて言うと、すぐタズナさんの家へ入っていった。ナルトもそれに続くように入っていき、サクラも「サスケ君、私達も行こう?」とサスケに聞き二人でタズナさんの家へ行った。

「あら、おかえりなさい。」
家へナルトと一緒に入るとタズナさんは洗濯物を畳んでいた。
”おかえりなさい”家へ帰ってそう言われたのはナルト以外では初めてだった。だから私はきょとんとしていた。ナルトも私と同じ表情でポカーンとしていた。

「セツナ、ナルト何玄関に突っ立てるのよ!?」
後から入ってきたサクラに思わずつっこまれてしまう。玄関に人がたまっていては正直迷惑な話だ。

「あら、サクラちゃんもサスケ君もおかえりなさい。」
ツナミさんは私達に言った言葉をもう一度サクラとサスケに言った。

「ただいま、ってほら、セツナもナルトもきょとんとしてないで!!」
「え、あ…ただいま…」
「た…ただいま…だってばよ…」
…何か言うの恥ずかしいな……

「…何でアンタたち”ただいま”言うだけでそんなに照れてるわけ?」
サクラは疑問に思ったのか靴を脱ぎながら私達に話しかける。
私もナルトも靴を脱ぎながら話す。

「え…いや、だって…」
「”ただいま”なんてオレ姉ちゃんにしか言ったことないし…てかあんまりない…」
私とナルトはお互い顔を見合わせながら頷く。
そこでサクラはいけないことを聞いたと思い、少し悲しそうな顔をした。
カカシも目を細め、サスケは目を閉じて溜息をついて、ツナミさんは空気を読んで状況を理解したようだった。

「っと、暗い空気になっちゃたね。ごめんごめん!ツナミさん、何かお手伝いできることないですか?一応家事一通りできるので何でも押し付けて下さいね」
セツナは先ほどの空気には似合わないにっこり笑顔と明るくて丁寧な言葉で空気を変えた。
シリアスに持って行ってしまうのは私の悪い癖だよねー。
そのためには笑顔と口調とかを変えるだけでその場の空気を変えることができる。
暗部に入ってからこの7年間で学んだこと。
まぁ、そういう本を図書館で借りまくったんだけどね。

「あら、お願いしてもいいのかしら?じゃあお料理できる?洗濯たたみ終わったらちょっと服の修正したいから、ご飯遅くなっちゃうのよ…材料は冷蔵庫の物適当に使ってくれていいから」
どうせなら服の修正の方をしようかと思ったセツナだが、どうもイナリのズボンの丈を採寸してから修正するらしいのでセツナは何も言わなかった。ツナミの隣にべっとりイナリがくっついていることと、ツナミさんが昨日イナリの履いていたズボンを持っていたことで分かったセツナって…。

「分かりました、ナルト手伝って」
セツナは台所へ行きながら腰につけているポーチから髪紐を取り出すと、髪の毛をポニーテールに結んだ。ナルトは「分かったってばよ」と言うとセツナの隣に走って行った。

「って、ええ!?ナルトも料理できるわけぇ!?(こんな奴に私より料理できるとか、プライドが許さなーーい!)」
「まぁ、一応できるってばよ」
ナルトは手を洗いながらサクラに話しかけた。

「あぁ、そう…あのツナミさん。よければあたしも何か手伝うわ(戦闘面では負けても、家事までこいつら姉弟に負けてたまるかってのよ!しゃーんなろ!)」
「あら、いいの?じゃあお父さんと一緒に買い物にでかけてくれない?もうそろそろ野菜が切れかけてるのよ」
「おお、サクラ付いてきてくれるのか?」
「一応これでも忍だし…(ッチ、家事じゃなかった…でも護衛としても買い物としても女の心が燃え上がるわね!!)」

サクラは内なるサクラを抑えながらタズナと一緒に市場へ出かけた。

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