いつまで殿つけて呼ぶのかな?  [ 13/25 ]


『信じられないかもしれないけど、この人たちの前世は戦国武将なの。そして前世の記憶を持っている』
「ちょっと星那?俺様は忍なんだけど」
『知ってるよ。佐助だけじゃなくて小太郎もかすがちゃんも有名な忍だったよね。あ!おチビちゃんやっぱり信じられないって顔してるー!!』
「なッ!?そんな常識外れなこと信じられるか!?だいたいなんで片倉がそんなこと知ってんだよ!」

まぁ・・・そうだよね。普通はそう思うよね・・・

『私も彼らと同じで前世のことを覚えてるの。あー・・・もちろん私は戦国時代を生きてたわけじゃないんだけど・・・』
「哀羽星那って言えば、アンタたちも分かるんじゃない?」

おチビちゃんは何かを考える素振りを見せ、ふと思い付いたかのように叫んだ。

「あ、哀羽星那って確か・・・俺が子供のときに流行ったアイドル!!」
「確か、原因不明の自殺で亡くなったって・・・」
『自殺ですって佐助さん』
「あはー・・・」
「もしかして片倉・・・お前の前世は・・・」
『そうだよ・・・哀羽星那は私だよ・・・』
「あの時の星那は・・・」
『?何さ、かすがちゃん?』
「いや・・・思い出すのも辛いな、と・・・」
『でも、悪いことばかりでもなかったよ?・・・当時家族と一緒に暮らしていた私の元に、ある日突然戦国武将である彼らがやってきたの』
「それが俺達と星那ちゃんの出会いだった」
「あの頃の星那くん・・・いや、星那くんの周りの人間は本当に酷くてね」
「motherは金を稼ぐための道具としか見てねぇし、sisterはストレス発散のためのサンドバックにしやがる・・・」
「でも一番酷かったのは・・・父親の独占欲だ」
『・・・当然かもしれないけど、私はあんな家族が嫌いだった。彼らが来るまでは・・・自分の存在を否定されるたびにひたすら謝る日が続いてたの』
「お前ェらもさっき見ただろう?出会ったばかりのころは、あの状態が毎日だった・・・」
『向こうも私が嫌いなら放っておいてくれればいいのに、父親の勘違いで愛情表現だと言い張って・・・』
「さっきの奴が星那に言った言葉あるだろ?あれさ、星那の父親の口癖に似ていたんだ。だからあんな状態になったんだと思う」
「・・・酷だな。この人たちが違う世界の人間だったならいつまでも一緒にいられたわけじゃないだろ?」
『まぁ・・・本来はね。けど、私の場合は違った』
「俺らが戦国時代に戻る唯一の方法がその時代の奴の殺生だったんだ」

つまり、人を殺さなければ元の時代には戻れない。

『それがわかったとき、私たちはある約束をした。ずっと一緒にいよう・・・って』
「それから私たちは星那の家族や親族を皆殺し、不本意ながら最後に残ったのは佐助と星那の二人だった」
『その時、私、佐助に言ったの。みんなが家族だったら、家族を嫌いにならずに済んだのにねって』
「で、俺様は星那を殺して戦国時代に帰ったってわけ。だからあれは原因不明の自殺なんかじゃなくて、立派な殺人だったんだよ」
『でもおかげでこうして家族として生まれ変わって、皆に会えて、あの時の約束だって守られてる。だから私は、今すごく幸せだよ』

そう言って皆に微笑む。

「星那殿ぉぉお!!某も幸せでござるぅぅう!!某・・・某・・・これからも星那殿の弟として星那殿をお守り致す!!」
「ちょっと旦那〜?そんなこと言って俺様の仕事増やさないでよ?」
『ありがとう、幸村。それで幸村は・・・』

  









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