壊れてしまった
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時間という物はあっという間に過ぎて放課後になった。約束通り琥太郎先生はおチビさんを呼んでくれたようだ。但し・・・
「琥太郎センセ!夜久と幼馴染みも連れてきたけどよかったか?」
余分なの三人引き連れて来た・・・
「余計なことを・・・星那こっち来い」
私は夜久さんと距離を置くために長曾我部のアニキの背後に隠れた。
「来てもらったとこ悪いんだが・・・夜久は帰りなさい・・・」
「え?でも片付けとか・・・」
ダメ・・・寒気がする。
「嬢ちゃん・・・コイツの自己紹介、ちゃんと聞いてたか?」
「いえ・・・女の子が来てくれたことが嬉しくて・・・」
「だってよ?星那・・・もっかい自己紹介・・・なんて、こんなに殺気が飛んでたら出来ないよなぁ?・・・おい猿、いるんだろ?」
『佐助・・・?』
「あはー、やっぱ鬼の旦那にはバレてた?」
「星那のこと・・・頼んだぜ?」
「ハイハイ・・・星那、こっちおいで?」
佐助が呼んでる・・・私はアニキの背後を離れ、佐助の腕の中に収まった。
ー元親sideー
星那を母親である猿に任せ、再び殺気の原因とも言える少年二人に目を向けた。
「で?アンタらは星那の何が気に喰わないんだ?」
「アイツは月子の敵だからだ・・・」
「はぁ?」
おいおい・・・何言ってんだ?
「星那は女を受け付けない体になっちまっただけで・・・」
「それがいけないんだろ?」
「月子を受け入れられない奴なんかこの学校のゴミも同然なんだよ!」
「っ!!」
ー俺らの愛情が受け入れられない奴なんか家族のゴミも同然だなー
ダメだ・・・!今の台詞を星那が聞いたら・・・!!
「鬼の旦那!!」
猿に呼ばれて、星那の方を見ると・・・
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・生きていてごめんなさい産まれてきてごめんなさい』
出会ったばかりの頃のようにただひたすらに謝り続けていた。
『愛せなくてごめんなさい・・・』
「星那!」
「っ!テメェら・・・さっさと帰れ!二度と星那の前に顔を出すな!!」
俺が怒鳴り散らすと、肩をすくませて出ていった。ったく・・・星那の親父の方がよっぽど怖いっつの。いや、そんなことよりも今は星那だ。
「星那ちゃん!星那ちゃん、星那ちゃん!!」
猿の奴がどんなに必死に名前を呼んでも正気には戻らない。
「これじゃあ女と話したときより酷くなってるじゃねーか・・・」
ったく、この状況をどうしろってんだ・・・
『ん・・・猿飛さん?』
「な、なぁに?星那ちゃん?」
『長曾我部さん?』
「お、おぅ!」
星那は儚く笑うと静かに眠りについた。
「寝ちゃったみたい・・・先生、ベッド借りますよっと・・・」
「なぁ、猿・・・星那は、その・・・」
「間違いないよ、確実にあの頃に記憶が飛んでる。目が覚めたときどうなってるかはわからないけど・・・」
「とりあえず関係者全員集めようぜ?知らずに星那と出会っちまったら大変だ」
「・・・そうだな。先生、話はしばらく待ってもらえないか?それからかなり人数が集まるから喧しくなるかもしれない・・・けど星那のためだ。許してくれ」
そう、全ては星那のため。