何故に寝たふり?  [ 7/25 ]


保健室の扉を開くと待ち受けていたのは

「よっ!」
『え・・・アニキ?』

長曾我部の兄貴がいました。

『・・・アニキ、海賊は海にいるべき人間だと思うんだ、私は』
「俺だって好きで山ん中いるわけじゃねーよ。・・・お前のオカンに頼まれたんだよ。どうせ保健室登校になるだろうから家庭教師しろってな」

さすがオカン。わかってらっしゃる。

『アニキが全部教えてくれるの?』
「いや?日替わりだ。国語が上杉、数学が竹中、社会が毛利で、科学が俺。あと体育が風魔で・・・英語と生物が・・・」
『?どうしたのさ』
「あぁ・・・英語がかすがで、生物が光秀」
『うん。かすがちゃんは・・・多少距離おけば平気だし、とりあえず光秀さんの日は学校中を逃げ回るよ』

何されるかわかったもんじゃない・・・

「とりあえず今日は科学だから・・・」
『そうだね。でもさ、私アニキに聞いてほしいことがあるんだよね・・・』
「お?なんだ?」
『さっき教室行ってからここに来たんだけどさ、女の子一人いたんだよね。誰の差し金?』
「・・・ザビーじゃね?」
『神かぁぁぁあああ!!
全く・・・私てんぱって嫌いな人は光秀さんと女の子って言っちゃったんだから!』
「ハハハ!ちなみに好きな人は?」
『オカンと父様と政宗と幸村』
「・・・ふーん、俺は?」
『アニキももちろん大好きだよ!けどアニキのこと愛していいわけじゃないから・・・』
「別に愛してくれなんて言ってねーよ。お前が昔のこと抱えてんのは知ってんだ。ちゃんと普通に生きてくれればそれでいいんだよ」

普通・・・アニキの言葉が胸に突き刺さった。

『普通・・・ねぇ。あいにく私の普通はみんなにとって異常らしいからよくわかんないや』
「そんなこと・・・」
『あるんだよ・・・お父さんもお母さんも妹も・・・みんなそう言ったんだから』
「それは昔の話だろ?今の親はあいつらとは違う・・・星那はちゃんと愛されてるじゃねーか」
『その自覚はあるよ・・・オカンも父様も政宗も幸村もみんな・・・かすがちゃんだって私を愛してくれてるのは知ってるよ・・・』

光秀さんのはまぁ・・・いきすぎてて怖いけど。

『けどね、それが逆に怖いんだよ』
「んなの・・・俺たちの気持ちは・・・」
『それも知ってる。あの時と変わってない・・・でしょう?私はそれを信じたいの。だから、また約束しようか?あの時みたいに刀を交わして、だなんてできないけど。星空の下であの時みたいに、みんなで、さ・・・』
「あぁ・・・今度は絶対にアンタを手放さない・・・」

あれ?アニキなんでそんな顔してんの?今にも泣き出しそうな、悲しそうな顔・・・

『アニキ?』
「琥太郎センセ〜、俺の生徒が一人怪我したんだ。看てくれねぇか?」

・・・・・・

「おぅ!片倉か!琥太郎センセ知らないか?」
『保健室の先生?知らない』
「ベッドは?」
『ベッド?知らないよ。私ベッドに用事なんかないし・・・』
「琥太郎センセー!」

おチビさんがカーテンを引くと、そこにはイケメンさんが寝ていました。

『あ、そんなとこに人なんかいたの?あとはいいよ、おチビさん。私が起こして、あの人手当てしてもらうから。他の生徒さん待たせてるんでしょ?』
「あ、あぁ・・・悪いな。頼んでもいいか?」
『うん。・・・私もこの人に聞きたいことあるし』

そう、例えば・・・


  









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