ちっちゃい先生
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「じゃ、星那。行ってらっしゃい」
いつから星月学園行きが決まってたのかは知らないが、用意されていた制服に身を包み、校門まで送り届けられた。
『帰りたい・・・』
星月学園の入学式は一週間前に行われた。つまり私は転入生となるわけだ。
もう一人の女の子と同じクラスじゃなければそれでいい。
『あ、猫ちゃん・・・』
ふと見上げた桜の木の上に猫ちゃんがいた。こちらを見つめて鳴いているが、降りられないのだろうか?
『待っててね』
どっちにしろこの時間だと遅刻だ。猫ちゃん一匹助けても問題ないだろう。
『よっ・・・と』
オカン譲りの抜群のジャンプ力で、木の上に跳び乗った。
『おいで・・・もう大丈夫だよ』
猫ちゃんは私の元にやって来るなり大きな欠伸をした。失礼なヤツだ。
『桜・・・綺麗だね』
もうここでサボってしまおうか・・・
本気でそう考え始めたとき、下の方から声が聞こえた。
「おい、そこの転入生!遅いと思って迎えに来たら何やってるんだ!」
そこにいたのは小さい人。
『何って・・・猫ちゃんが・・・あり?』
私の隣にいた猫ちゃんがいつの間にか人間になっていた。それも知り合いに・・・
『小太郎じゃん!さっきの猫ちゃんは小太郎だったんだ・・・』
「(明智の薬・・・)」
『あー、小太郎も被害者?あとで一緒に文句言いに行こうか』
そう約束して、二人で下に飛び降りた。
『じゃーね、小太郎。私、父様の策略で学校行く羽目になっちゃったからさ』
「(婆娑羅学園じゃなくてよかったな)」
『うん。これで安心して保健室登校できるよ!』
ということで・・・
『おちびちゃん、保健室に案内してくれるかな?』
「チビっていうなーーーーーー!だいたい、まず行くべきなのは職員室、教室、保健室だろ?つーか保健室は行かなくてもいいの!」
『私のクラスに女子はいますか?』
「あ?あぁ、天文科だから一人いる『帰ります。二度と来ません。さようなら』っておい!片倉!!」
全く・・・父様も何で女子がいるクラスにしたんだ。女子は無理だっていつも言ってるのに・・・
「とりあえずついてこい!保健室行ってもいいから!」
『・・・行きます』
帰ったら父様に文句言ってやる!