ちっちゃい先生  [ 5/25 ]


「じゃ、星那。行ってらっしゃい」

いつから星月学園行きが決まってたのかは知らないが、用意されていた制服に身を包み、校門まで送り届けられた。

『帰りたい・・・』

星月学園の入学式は一週間前に行われた。つまり私は転入生となるわけだ。
もう一人の女の子と同じクラスじゃなければそれでいい。

『あ、猫ちゃん・・・』

ふと見上げた桜の木の上に猫ちゃんがいた。こちらを見つめて鳴いているが、降りられないのだろうか?

『待っててね』

どっちにしろこの時間だと遅刻だ。猫ちゃん一匹助けても問題ないだろう。

『よっ・・・と』

オカン譲りの抜群のジャンプ力で、木の上に跳び乗った。

『おいで・・・もう大丈夫だよ』

猫ちゃんは私の元にやって来るなり大きな欠伸をした。失礼なヤツだ。

『桜・・・綺麗だね』

もうここでサボってしまおうか・・・
本気でそう考え始めたとき、下の方から声が聞こえた。

「おい、そこの転入生!遅いと思って迎えに来たら何やってるんだ!」

そこにいたのは小さい人。

『何って・・・猫ちゃんが・・・あり?』

私の隣にいた猫ちゃんがいつの間にか人間になっていた。それも知り合いに・・・

『小太郎じゃん!さっきの猫ちゃんは小太郎だったんだ・・・』
「(明智の薬・・・)」
『あー、小太郎も被害者?あとで一緒に文句言いに行こうか』

そう約束して、二人で下に飛び降りた。

『じゃーね、小太郎。私、父様の策略で学校行く羽目になっちゃったからさ』
「(婆娑羅学園じゃなくてよかったな)」
『うん。これで安心して保健室登校できるよ!』

ということで・・・

『おちびちゃん、保健室に案内してくれるかな?』
「チビっていうなーーーーーー!だいたい、まず行くべきなのは職員室、教室、保健室だろ?つーか保健室は行かなくてもいいの!」
『私のクラスに女子はいますか?』
「あ?あぁ、天文科だから一人いる『帰ります。二度と来ません。さようなら』っておい!片倉!!」

全く・・・父様も何で女子がいるクラスにしたんだ。女子は無理だっていつも言ってるのに・・・

「とりあえずついてこい!保健室行ってもいいから!」
『・・・行きます』

帰ったら父様に文句言ってやる!


  









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