ん?ピアスどこ? | ナノ



「あれ…?」


鏡を見て違和感を覚えた。


週末。謙也さんの家に泊まりに来た。
今日は部活があるからあんま遅くまで寝てられん。
謙也さんに起こされたときはもうすでに早いとはいえない時間やった。


急がなあかんってわかっとるけど、頭がぼーっとしとる。
謙也さんに「はよ顔洗いや」て言われて洗面所を借りて、タオルで顔を拭いて、そこで気付いた。


「ピアス…どこ行ってん…?」


寝ぼけた頭で考える。
昨日の夜は外してへん。
てことは誰かが外したってことやろ。
いくら何でも5個いっぺんに外れるなんてありえへん。
たぶん、ていうか外したんは謙也さんなんやろうけど、でも何のために…?


「光はよ準備せんと遅刻すんで?」
「謙也さん俺のピアス知りません?」
「んー?」


謙也さんは含みのある笑い方をした。
やっぱ外したん謙也さんなんや。


「ここにあるで」


差し出されたのは小さな袋。なんでわざわざ袋に入れたんやろ…?


「開けてみ?」


促されて袋を開ける。
そこにはピアスが5個入っとった。
けど、俺がつけてたやつやなくて、新しいやつ。


「光今日誕生日やん」


おめでとさん。それつけてや。
言って謙也さんは笑った。
「どや?」なんて聞いてくる。


「謙也さんにしてはまぁまぁやないですか?」


正直、完全に予想外やったからびっくりしたし、嬉しかった。
それを悟られないように生意気な軽口を叩く。
謙也さんは満足そうに笑った。


「謙也さん」
「ん?」
「つけてください」
「おん!」


謙也さんの手が耳に触ると、なんやくすぐったくて、熱い。
少し下を向いて聞こえるか聞こえないかギリギリのの声で「おおきに」て言うと、謙也さんの手が俺の頭を撫でた。



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ピアスって寝るときは外すよね、というツッコミはなしの方向で…←
財前くんお誕生日おめでとうございます!
1週間以上過ぎたけど!


2012.07.29

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