片想い5題



5.言えない二文字(要→悠)


何故こんなにも心が落ち着かないのか。

「どうしたの?珍しいね、要が休み時間に寝てるなんて」
「うっせ…ほっとけ…」

お前のせいだ、などとは言えず、要は机の上に伏せた。

要は悠太が好きだった。
無意識のうちに目で追ってしまったり、一緒に話す時間が楽しくて大した用もないのに話しかけに行ってしまったり。
それが恋だと自覚してからは、そのような些細なことに対しても心臓がうるさくなってしまい、悠太から少し距離を置いていた。

気持ちを伝えようと努力したことはある。
しかし、その度に臆病な心が邪魔をして上手くいかないのだ。
たった二文字の言葉なのに言えない。

どうすればいいか、なんてわからない。
教科書には答えは載っていない。
恋愛は頭で考えている程簡単ではないのだ、と要は思い知らされた。

言えない二文字の気持ちは、今日も要の胸に溢れている。



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