片想い5題



2.瞳が勝手においかける(ユウ→光)


俺が好きなのはアイツやないのに。

「ユウく〜ん」
「小春ぅー!好きやでー!」

部活中いつものように抱き合う。
周りは今日もラブラブやなーなんて言うとる。
そうや、俺は入学してからずっと小春一筋やねん。
やのに、なんでなん?

「ユウくんが好きなのはアタシやないくせに…」

なんで小春は悲しい顔してそないなこと言うん?

「何言うてんねん!俺が好きなんは小春だけや!」
「…ユウくんは自分の気持ちに気付くべきよ」

認めるべき、のほうが正しいかしらね、と小春は言う。

ずっと目を背けていたこと。それは、気付けば目が財前光を追っているという事実。

第一印象は生意気な後輩。
先輩だろうが何だろうがキモいウザい言いたい放題。
ムカつく奴だとしか思えなかった。
なのに最近、気付けばこの目は財前を捉えとる。
しかも、財前が他の誰か(例えば謙也とか白石とか)と話してるとイライラする。
財前に近づくな、とさえ思う。
無理矢理見ないフリをしてきた気持ちに小春は気付いとったんか。

「いや、俺の一番は小春や。小春が好きなんや!」

自分に言い聞かせるように言う。
言い聞かせる、なんて、小春が正しいって認めたようなもんやけど。
小春は寂しそうな顔で「おおきに、ユウくん」とだけ言った。


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