校内恋愛で5題



4.グラウンドに大きなハートを(祐悠)


「(あ、祐希だ)」

授業中何気なく窓の外に目を向けると、グラウンドに祐希がいた。

この時間は体育だと言っていた。
自習だから寝ていたい、と言う祐希を要が外へ引きずっていくのをさっき見た。

珍しく祐希が走っている。
それも、いつものうにゃうにゃした走りではない。
しゃんと背筋を伸ばして走っていた。

珍しいこともあるもんだ、と思いながら祐希を観察する。
見ているうちに、祐希はただ走っているのではないことに気付いた。
何かの形を描いているような。
それが何なのかはわからないが。
さらに、どこから見つけてきたのか木の枝を持った千鶴が、それで祐希の走ったあとを追って線を描いていた。
(要はその様子を少し離れた場所から見ていた)

時間が経つにつれ、それが何なのかわかってきた。
祐希が描いていたのは大きなハートマーク。
何で、と思っていると、作業を終えた祐希が悠太の教室を見上げて得意気な顔をした。ような気がした。
慌ててグラウンドから目を反らす。
ほぼ間違いなく悠太へ向けられたそれに鼓動が速くなるのを感じ、授業が終わっても残しておくつもりかな、などと思いを巡らせた。



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