年の差5題



4.背伸びを咎めないで(茉咲→春)


「しゅっ、春ちゃん!」
「茉咲ちゃん?どうしたんですか?」
「あのっ…その傷どうしたの?」

茉咲が指したのは、春の首元についた引っ掻き傷。
大したケガではなさそうだったが、白い肌に赤い傷が痛々しかった。

「これですか?ちょっと猫さんに引っかかれちゃって…」

カッコ悪いですよね、と春は笑う。
茉咲は勢い良く首を横に振った。

「あのっ、春ちゃん!」
「はい?」
「絆創膏、貼ったげるね!」

勇気を振り絞って茉咲は言った。
いつかのあの日のお礼がしたかった。
春は一瞬驚いたような顔をして、そして「ありがとうございます」と言って微笑んだ。

どうか、今だけは、

背伸びを咎めないで。


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