五つの告白




5.目を真っ直ぐに見つめながら(菊→不)



向日葵の揺れる高台の公園。菊丸と不二はベンチに座って街並みを見下ろしていた。

「負けちゃったね」
「うん」
「やっぱり全国って広いね」
「ほんとだよなー。でも、最後まで自分のテニスしてた先輩たち、めっちゃかっこよかった」
「うん」
「オレたちの代では全国行こうなっ!」

菊丸は歯を見せて笑う。不二もそれを見て微笑み返す。
その笑顔にお互いドキドキしてしまって、二人は照れくさそうに視線を外した。

「ねぇ、不二」

オレ、不二が好き
いつになく真剣な菊丸の声に顔を上げると、真っ直ぐな瞳にぶつかる。
猫のように大きな瞳は不二の瞳を捉えた。

「不二が好きだよ」

目をそらさずに菊丸は言う。言葉の意味が飲み込めてくると、頬に熱が集まるのがわかった。
それでも、大きな瞳を見つめながら返した。

「ボクも…英二が好き」



「なんかまだ実感わかないや」
「オレも」

2年後の同じ日。全国制覇を果たしたその日に二人は同じ公園に来た。
嬉しい気持ちといよいよ引退なのだという寂しさが混ざって複雑な気持ちだった。

「不二」
「ん?」
「これからもよろしくな!」

全てを包み込むように菊丸は言う。向日葵のようなその笑顔は昔と変わらない。
きっと何年経ってもこの笑顔が好きなんだろうなと思いながら不二は頷いた。



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