deep emotion



「よかったら私と…っつきあってくださいっ」


何言ってんの?って思った、正直。




「そんなの誰が許可しますか」



そう言って乗り込んでいくつもりだった。
要と千鶴に全力で阻止されて喋るのさえままならなかったけど。


別に悠太が告白されるのなんて初めてじゃない。
むしろよくあることだった。
悠太モテるし、昔から。
でも現場を見てしまったのは今日が初めて。
悠太の顔は見えないし、何話してるのかもわからないけど。
とりあえず、春の情報で彼女は高橋さんというのだと知った。



「ゆうたぁー」



家に帰っていつものように悠太にくっつく。
もー暑いよとか何とか言いながらも悠太は抵抗しない。
さっきの話、どうなったの?聞きたいけど、聞かない。
だって、悠太ならきっと言ってくれると思ったから。
でも、何も話してくれなかった。ねぇ、何で?



「…あ、昨日こく…ごじてん誰かオレのロッカーから勝手に…すごい食いついたね今」
「悠太、昨日こくは…ごじてん誰か勝手に持ってったの?」
「は?だからさっきそう言ったじゃん」



悠太は昨日の話をしない。
もう正面から正々堂々と聞こうと思ったけど、要に全力で殴られた。
あのね、下敷きって地味に痛いんだよ。わかってる?



「用事できたから先帰ってて」



放課後。
いつものように一緒に帰ろうとしたら言われた。
何なの用事って。高橋さん?



「…用事って?」
「…用事です」
「…さようで」



悠太は何も言ってくれない。ねぇ、何で?


後をつけてみたらやっぱり高橋さんだった。
告白されたあとにこうなってるってことはやっぱり付き合うことにしたって意味なの?ねぇ、悠太。


高橋さんの隣にいる悠太を見て、胸がツキリと痛んだ、ような気がした。


わかってる、いつか大人になったら結婚するんだと思う。
オレも悠太も、みんなも。でも、



「悠太もなぁ、彼女できたらできたで報告ぐらいしろっつんだよなぁ」
「しても認めないけどね」



いつかそうなるのはわかってるけど、今はまだオレの悠太でいてよ。
ね、悠太?





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deep emotion=深い感情ということで(配布サイト様より
なんか、双子は愛のかたちとかお互いに違くて、
祐希の愛は強いけど、悠太の愛は深いのかなって最近思います
…てことは悠太視点で書けばよかったか…?


2011.05.14


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